2022.05.10

下馬評を覆して躍進するサガン鳥栖。いまだJ2降格がない優秀な地方クラブの真髄

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 川井監督が「対相手の要素を含んで(起用する選手を)選んでいる」と話すように、それぞれの特長を生かした選手起用で保有戦力を有効活用できていることも、好結果の一因だろう。

 加えて、今季の鳥栖が痛快なのは、昨季の主力を引き抜かれたクラブの多くを、現在の順位で上回っていることである。

 現時点で鳥栖より上位にいるのは、MF樋口雄太が移籍した1位の鹿島、DFエドゥアルドが移籍した3位の横浜FM、そして、FW小屋松知哉が移籍した4位の柏レイソルだけだ。

 選手を譲り渡しても、勝負に負けるわけにはいかない――。そんな心意気が感じられるようで面白い。

 直近の第12節、1-0で勝利したFC東京戦もそうだった。

 FC東京のセンターフォワードで先発出場したのは、昨季まで鳥栖で9番を背負っていた山下。だが、鳥栖は"昨日の友"にゴールを許さなかったばかりか、1本のシュートさえ打たせなかった。

FC東京戦で鮮やかなゴールを決めた堀米勇輝FC東京戦で鮮やかなゴールを決めた堀米勇輝 この記事に関連する写真を見る  対照的に、決勝点となる直接FKを鮮やかに決めたのは、MF堀米勇輝。J2のジェフユナイテッド千葉から今季移籍加入したレフティである。

 指揮官が堀米を絶賛する。

「彼の左足は非常にクオリティが高いものがあるが、それだけでなく、ハードワークをしてチームに違いを出してくれる」

 前節終了時点で、鳥栖の6位に対してFC東京は5位。だが、この勝利で5位へ浮上した鳥栖は、逆に6位へと後退したFC東京を追い抜いた。