清水エスパルス大勝も、勝因はGK権田修一。残留を争うチームは変化が必要だ (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

湘南の問題は得点力とメンタル

 一方、出足は悪くなかった湘南は失点後、明らかに意気消沈した。負け続けている自信のなさなのか。呆気なくやられる格好で、たて続けに失点したのだ。

 36分にはCKからマンマークにもかかわらず完全に敵を見失い、頭で合わされる。GKがブロックした後も再びシュートを打たれ、もう一度防ぐも、さらにフリーだった鈴木に蹴り込まれた。38分にも左サイドに容易にパスを通され、裏返される格好で鈴木のスピードに振り切られる。簡単にクロスを上げられると、中央に走り込んだ白崎凌兵のマークも外しており、ゴールにボールを叩き込まれた。無残な守備だった。

「(チームが)失点で崩れる現状は間違いなくて。戦術云々よりも、メンタルの部分が大きいと思います。1点獲られて下を向いている場合ではない」(湘南・池田昌生)

 気落ちしている間に、3点を放り込まれた。これでは勝負にならない。後半、1点を返したが、再びCKから失点し、以降、スコアボードは動かなかった。攻撃にパワーを使っただけに、余力は残っていなかったのだろう。

 湘南は、得点力とメンタルの問題が浮かび上がった。優勢な時間帯で先制できていたら、違った展開も望めただろう。また、チームとしての守備は鍛えられているが、個人があまりに簡単にやられすぎていたし、やられた後のメンタルリカバリーは致命傷だった。ふたつの問題点を解消するか、問題を違う形で補うことができないと、降格の現実が近づくことになるだろう。

「(日本代表GK谷晃生ではなく富居大樹を使ったのは)富居の調子がよかったのもあります。チームとしての流れがよくなかっただけで、刺激を与えたいという思いで。思いきった違いを示したかったのですが......」

 湘南の山口智監督は試合後に語っているが、変化が必要なのは誰よりも承知しているはずだ。

 一方の清水は、GK権田、FW鈴木、サンタナなど、個人が軸になることで、勝ち点は奪えるかもしれない。しかし、1本のパスで裏を抜くような戦い方がはまるのは、下位相手だけ。チームとしての戦い方が整備されない限り、再び厳しい局面にさらされるだろう。

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