横浜F・マリノスがACLを勝ち抜いた"非森保的"選手起用法。日本代表にも「先を見越した戦い」が必要だ

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

 5月1日に行なわれたアジアチャンピオンズリーグ(ACL)グループリーグの最終戦で、横浜F・マリノスは全北現代(韓国)に1-1と引き分け、ヴィッセル神戸、浦和レッズに続きベスト16入りを決めた。

 また、同日には、決勝トーナメント1回戦(8月)の抽選も行なわれ、Jリーグ勢では、横浜FM対ヴィッセル神戸の直接対決と、浦和レッズとジョホール・ダルル・タクジム(マレーシア)の対戦が決まった。

最終戦で全北現代と引き分け、グループリーグを首位で通過した横浜F・マリノス最終戦で全北現代と引き分け、グループリーグを首位で通過した横浜F・マリノスこの記事に関連する写真を見る Jリーグ勢で唯一、グループリーグで敗退した川崎フロンターレは、所属するグループIで2位になりながら、3つ巴となった展開と、出場辞退チーム(上海海港/中国)が出たことで急遽変更になったベスト16進出を巡るレギュレーションに泣いた格好だ。

 逆に神戸は同じグループJの上海海港が出場辞退し、ライバルが減るというラッキーに恵まれた。今季のJリーグで不振に喘いでいるとはいえ、香港(傑志)、タイ(チェンライ・ユナイテッド)のクラブチームとの戦いは楽な展開だった。他の組の試合数が各チーム6試合なのに対し、このグループは4試合。6試合すべてを中2日で戦った他のグループのチームより消耗度も少ない。横浜FM、浦和、川崎より、Jリーグの今後の戦いにスムーズに臨めそうである。
 
 唯一脱落した川崎は、運に恵まれなかったことは確かながら、たとえば5戦目の蔚山現代(韓国)戦(4月27日)に2-3で力負けする姿に、この先のJリーグの戦いで待ち受ける危うさが見て取れた。

 この蔚山戦を最大の山と踏んだのか、鬼木達監督はメンバーをローテーションしながらも、スタメンにベストメンバーとおぼしき11人を並べた。だが、迫力不足は顕著だった。なにより、ジョージア代表FWヴァレリ・カザイシュヴィリと元浦和のレオナルドが組む9番、10番のコンビが、蔚山にあって川崎にない魅力だった。

 得点源となる頼りになる外国人が、レアンドロ・ダミアンひとりという現実が、蔚山を見てあらためて浮き彫りになった格好だ。現在、故障で帰国中のジェジエウは別にして、マルシーニョとジョアン・シミッチは助っ人と呼べるほど特別感を抱かせる存在ではない。日本人選手の質も、特別高くない。自国選手の質という点でも蔚山に劣っていた。
 
 やりくり上手な鬼木監督の手腕で、なんとか落ち込みを最小限に食い止めているJリーグでの実情がすけて見えた。

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