中村憲剛と佐藤寿人がリーダーに必要なものを力説。「自分に甘いキャプテンの話なんて、誰も耳を傾けない」

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki 佐々木麻里子●ヘア&メイク Hair & Make up by Sasaki Mariko

中村 俺はけっこうガミガミ言ってたほうだと思う。特に20代後半から30代前半にかけて。自分にも厳しくするけど、周りにもけっこう言っていた。チームが勝つためという大義名分のもとで、けっこう厳しいことを言っていましたね。

佐藤 言わなきゃいけないことは言わないといけないんですけど、それを言うことで時にはうっとうしいと思われることもあるじゃないですか。その一線を越えるのは、けっこう勇気がいる行為でしたね。

---- 具体的なエピソードはありますか。

佐藤 リーグ戦の終盤にきて、優勝も残留も何もかかっていないシーズンがあったんですよ。まだシーズンは終わっていないんですが、ロッカールームでオフの話をする選手がいて。年齢的に上の選手だったんですが、その時はどういう言葉を使うかも考えたうえで、厳しいことを言いました。

 やっぱりプロとして最後まで全力を尽くさないといけないですし、気持ちが緩むとケガにつながる可能性もあるじゃないですか。そういう空気を排除しなければいけなかったので、かなり強めに怒りましたね。

---- 憲剛さんは怒る時に、ためらいはなかったんですか。

中村 ありましたよ。特に自分が若い時は年齢が上の方たちもいるので、ここで言うべきか、踏みとどまるべきかを悩むことは、今思えば多かったですね。個人的に意識したのは、自分が予測するリアクションが返ってこない場合もあるので、あらゆることを想定したうえで言うようにはしていました。

 あとは、思ったことをそのまま言う時もありますけど、チームにとって改善すべきことでも言われた相手にとっては嫌なこともあるので......。でも、それを言わないとチームは改善しないと本気で思った時は遠慮なく言いましたね。

 ただ、そこはやっぱり気を遣いました。なので、一番気をつけていたことは「バランス」ですかね。

佐藤 そもそもの大前提として、自分が最低限のラインまでできていないと言えないですよね。パフォーマンスが全然ダメなのに、それを言っても説得力がないわけで。常にある一定以上のパフォーマンスを維持しておかなければいけない、という意識はありましたね。

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