名古屋のディフェンスは難攻不落、ただし...3試合連続ノーゴール。リスクを負えるかどうか、長谷川監督の手腕次第

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by Getty Images

才能が開花しそうな藤井陽也

 3バック変更の効果は、たしかに見られた。

 最終ラインの顔ぶれは、左から丸山祐市、藤井陽也、中谷進之介の3人。長期離脱していた丸山の復帰がこの布陣の採用に踏みきった最たる要因だろうが、それぞれが対人能力の高さと足もとの技術を備えており、攻守両面でチームに安定感をもたらしていた。

 とりわけ、インパクトを放ったのは藤井だ。

 アカデミー出身の21歳のセンターバックは、身長187cmと高さが際立つ。この日はディエゴ・オリヴェイラとのマッチアップでも屈することはなく、的確なカバーリングも冴えわたった。昨季までの3年間でわずか10試合しか出場していなかったが、今季は完全にレギュラーの座を掴み、いよいよその才能を開花させつつある。

「横に丸山選手、中谷選手という頼もしい存在がいるので、僕は思いきってチャレンジできています」

 そう語る藤井は、試合を重ねるごとに自信を深めているようだ。

「最初の頃は慎重になりすぎた部分がありましたが、(長谷川)健太さんがもっと思いきりやれと言ってくれましたし、そこは自分のよさでもあると思う。常に思いきってチャレンジすることを意識していますし、ダイナミックかつ冷静にやっていきたい」

 丸山と中谷は、ともに代表経験のある実力者。ここに成長著しい藤井を加えた3バックの強度は、リーグでも屈指だろう。さらにうしろには、現在のJリーグで最高のGKと言えるランゲラックが控え、前方にはアンカーのレオ・シルバ、インサイドハーフの稲垣祥と仙頭啓矢が、豊富な運動量と強度の高いプレーで、相手に自由を与えない。まさに難攻不落の守備組織を備えていると言える。

 となると、やはりポイントは攻撃となる。いかにゴールへの道筋を見出すことができるか。そこが今季の名古屋が向き合わなければならない不変のテーマとなる。

 3−5−2の布陣で肝となるのはサイドアタックだ。とりわけ、両ウイングバックが高い位置を取れるかが重要なポイントとなる。

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