福田正博が今注目するJ1のストライカー3人。「ゴール前でスピードコントロールができる」

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

将来が楽しみな17歳のストライカー

 それが今シーズンは、ゴール前にドリブルでボールを持ち込んだり、パスを受けようとスペースに走り込んだりしたあとに、一瞬だけスピードを緩められるようになった。この動きのギアチェンジが、ゴール前での落ち着きや視野の確保につながって、得点を決められるようになってきたのだ。

 顕著だったのが、開幕戦の北海道コンサドーレ札幌戦でのゴール。速く走るばかりではなく、スピードをコントロールすることでGKの位置を確認し、角度のないところからズバッと打ち抜いた。今季まだ2得点だが、こうしたプレーが随所で見られているので、これを続けていければゴール数はもっと増えていくはずだ。

 夏に海外移籍となっても不思議はない感じだが、個人的には成長曲線を見守っていて楽しい選手というのは滅多にいないだけに、シーズン終了まで鈴木のプレーをJリーグで見たいと思っている。

 若手ストライカーで言えば、セレッソ大阪の北野颯太にも注目している。2004年8月生まれで、今年2月にプロ契約を結んだばかりの17歳だが、この名前をしっかり頭に入れておいてもらいたい。2、3年後には、日本中の誰もが知る存在になっているだけのポテンシャルを秘めた選手だ。

 いまどきの若い選手はすばらしいボールテクニックを持っているが、それだけに終わってしまうケースも少なくない。それが北野は足元のテクニックをサッカーに活かせていて、久しぶりに驚かされた。

 身長は172cmと大きくはないが、それが気にならないくらいの高い技術力を持っている。そして、 彼の最大の長所は常にゴールを意識してプレーできていることだ。ボールを受ければ、どんなところからでもシュートに持ち込もうとするので、彼がボールを受けると何かが起きるような錯覚を覚えるほどだ。

 第3節のFC東京戦ではスタメン起用されたが、今のところ 、基本的には途中出場がメイン。まだ17歳の選手だから、この起用方法にも賛成だ。短い時間ながらも、毎節J1のレベルを経験し、課題発見→トレーニングで克服→次の試合で成果を試す、という流れのなかで成長できている。いま取り組んでいることを継続していければ、来年以降は間違いなく大きな飛躍を遂げているだろう。

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