福田正博が今注目するJ1のストライカー3人。「ゴール前でスピードコントロールができる」

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

福田正博 フットボール原論

■J1は第9節までが終了。序盤戦で各チームの状態が見えてきているが、個々のプレーでも目立つ活躍を見せている選手たちがいる。今回は福田正博氏に、ここまでのJ1で気になっている3人のストライカーとその注目ポイントを挙げてもらった。

ここまで全試合先発出場の、清水エスパルスの鈴木唯人ここまで全試合先発出場の、清水エスパルスの鈴木唯人この記事に関連する写真を見る

得点の匂いのする選手になった鈴木唯人

 Jリーグが開幕して約2カ月が経った。得点ランキングでは京都サンガF.C.のピーター・ウタカが7得点でトップを走り、それを5得点でジュビロ磐田の鈴木雄斗、鹿島アントラーズの上田綺世が追いかけ、4得点で横浜F・マリノスの西村拓真とアンデルソン・ロペスが続く(4月20日、第9節終了時)。そこで今回は、今 気になっている3人のストライカーについて触れたい。

 1人目は2001年生まれ、現在20歳の清水エスパルスの鈴木唯人だ。2年後のパリ五輪では、中心選手として活躍してもらいたい存在。今年1月に行なわれた A代表の国内組だけの合宿にも参加しているが、パリ五輪よりも前にA代表にデビューできるような成長を遂げてもらいたいと期待している。

 鈴木は、Jリーグでプレーするようになって今季で3シーズン目だが、目を引くのが、すでに 圧倒的な試合数を重ねていることだ。1年目に30試合、2年目に33試合、今季も開幕カードから全試合に先発出場している(第9節終了時)。

 昨季までの起用には"未来への期待値"という側面もあったと思うが、成長課程の選手にとっては実戦で数多くの試合経験を積めることに優るものはない。過去2シーズンのなかで見つけた課題にしっかり取り組んできた3年目の鈴木は、得点の匂いのする選手になってきた。

 その大きな理由は、相手ゴール前で「スピードを緩められる」ようになったことだ。

 これはストライカーに限った話ではないが、ゴール前にトップスピードのまま入っていってボールを受けるのは至難の業だ。パスを受けたとしても次のプレーの精度を欠いてしまうケースが少なくない。そのためゴール前ではスピードをほんのわずかに緩めて、相手GKやDFの位置や動きを確認し、次のプレーを選択する余裕を持つことが重要になる。

 言うは易しで、意外とこれができない選手は多い。昨年までの鈴木もそうで、ゴール前でパスの出てくる場所にポジションを取るのは抜群にうまいのに、プレースピードをコントロールできていないがために、それを得点につなげられなかった。

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