今季J1の「台風の目」京都サンガがエグい。対戦相手に突きつける課題が難易度MAX (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

 試合開始早々にこれを見せられてしまうと、柏の選手たちは大胆、かつ主体的にポジションをとって、ビルドアップすることが難しくなる。

 柏のキャプテン、DF古賀太陽は「ウタカ選手に対するリスク管理をもっとやらないといけない。そこでうまく起点を作られた」と話していたが、言い方を変えれば、ウタカのマークを気にするあまり、柏のDFはビルドアップ時のプレーが小さくなり、結果的に悪いボールの失い方を増やした、とも言えるだろう。

 ウタカの存在自体が守備に貢献している。そう言ってもいいのかもしれない。

 柏の選手にしてみれば、ただでさえハイプレスを仕掛けられているうえ、常にウタカの脅威にさらされたのでは、余裕を失うのも無理はなかった。「ボールの失い方が悪く、相手に前向きにボールを与えてしまった」とは、古賀の弁だ。

 この試合で貴重な追加点となる2点目のゴールを決めたウタカは、今季ゴール数を7に伸ばし、J1得点ランクのトップに立つ。チャンスメイクだけにとどまらず、J1屈指の決定力も備えているのだから、多少守備には目をつぶってでも、この武器を活用しない手はないだろう。

 MF福岡慎平は言う。

「(ウタカは)頼もしすぎる。本当に38歳なのかと疑うぐらい走ってくれるし、決めてくれる。本当にチームにとって頼りになるFWです」

 優れたストライカーの能力を持て余すことなく生かしつつ、チームの武器であるハイプレスの強度も落とさない。上り調子にある京都は、その"いい塩梅"を見つけ出したように見える。

 裏を返せば、ウタカの脅威を背中で感じながらも、いかにハイプレスをかいくぐって攻撃を組み立てるか――。

 今の京都は、対戦相手にかなり難しい課題を突きつけている。

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