「勝てる試合も勝てない」ヴィッセル神戸がヤバい。V候補のタレント軍団がハマッた悪循環 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 直近の第7節、FC東京戦にしても、試合の入りは悪くなかった。リュイス監督が語る。

「前半は完全にゲームを支配できた。先制ゴールも決められたし、守備もよかった。リードしたなかで、2点目のチャンスも長い時間で作り続けていた」

 実際の印象としては、11分にMF山口蛍のゴールで神戸が先制して以降、すでに前半なかばあたりから、試合の主導権はFC東京に移り始めていたが、1-0のまま試合を折り返すことができているのだから、神戸としては悪くない展開で試合が進んでいたと言ってもいいのだろう。

 ところが、後半立ち上がりから劣勢を強いられた神戸は、54分にFWアダイウトンのヘディングシュートで追いつかれると、わずか3分後にもDF森重真人にミドルシュートを叩き込まれ、あっという間に逆転を許してしまう。さらには、66分にもFWディエゴ・オリヴェイラにダメ押しの3点目を決められ、勝負は決した。

 言い方は悪いが、勝てないチームが陥りがちな、典型的な悪循環である。

 せっかく自分たちのペースで試合を進め、先制点まで奪ったにもかかわらず、勝ちを意識するあまり気持ちが守りに入るのか、相手に主導権を渡してしまう。

 しかも、FW永井謙佑が同点ゴールをアシストしたシーンを振り返り、「相手が寄せてこなかったので、間ができて、中(ゴール前)を確認できた」と話しているように、神戸の選手たちはゴールを守ろうとするばかりで、ボールに寄せることができず、ゴール前の人数は足りているのに守りきれない。

 一度同点に追いつかれると、緊張の糸が切れてしまうのか、直後に逆転ゴールを献上してしまう流れは、同様に1-3で敗れた第6節の京都サンガ戦とまったく同じパターンだった。

 MF汰木康也が自嘲気味に語る。

「ちょっと失点が"安い"気がする。あんなに簡単に失点したら、勝てる試合も勝てない」

 神戸の総失点15は、(消化試合数に違いがあるとはいえ)J1ワーストの数字である。

 リュイス監督は、立て続けの失点で逆転を許す展開について、「サッカーではこういうことが起きる時、明確な説明を探すのが難しい。サッカーの世界では起こること」と語る。

 なるほど、そのとおりだろうし、「サッカーはいつも運が回ってくるわけではない」(リュイス監督)。

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