セレッソ大阪が強い。王者・川崎を撃破、前評判を覆す躍進には理由がある (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 今季(リーグ戦では)ここまで山田が3ゴール、加藤がノーゴールと、数字のうえではまだまだ物足りないが、「陸次樹とは去年からずっとやっていて、やりやすさがある。向上しているなと感じる」と山田。2トップのふたりでチャンスメイクするシーンは増え、ゴールへ向かう姿勢にも、力強さが備わってきた。

 川崎から2ゴールを奪いとった山田が語る。

「練習から常にゴールは意識している。(自身の)1点目も後ろから(相手DFが)来ているのはわかっていたが、GKの位置も見ることができたので自信につながる。とにかく今は、自分が1試合でどれだけシュートを打てるかを考えている」

 そんな若きストライカーの意欲が明確に表れていたのが、先制点のシーンだ。

 ショートカウンターで抜け出した加藤からのパスを受けた山田は、目の前に相手DFがいたにもかかわらず、時間をかけずに強引にシュート。結果的に、これがゴールポストに当たってはね返り、乾の得点を生んでいる。

 山田が振り返る。

「あのシュートも今までなら打っていない。今までならパスを選んでいたところでの思い切りが、いい形につながっている」

 海外経験も豊富な乾やボランチのMF奥埜博亮ら、30代の選手たちが若い2トップを後ろから支える構図も、チームとして非常にバランスがとれている。心強い後方支援が、2トップを気持ちよくプレーさせていると言ってもいいだろう。

 実際、チーム2点目の起点となった奥埜のパスなどは、実に落ち着きのある出色の1本だった。

 今季J1で6試合を終えたC大阪の総得点数は12。チームによって消化試合数が異なるため、単純な比較では横浜F・マリノス(14点)、川崎(13点)に次ぐリーグ3位だが、1試合平均に直せば、C大阪が堂々のトップである。

 若い2トップに引っ張られるように、C大阪が得点力を高めている。そんな様子は目に見える形で数字にも表れている。

 坂元が去り、瀬古が去り、それでも今季のC大阪は侮れない。

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