ベガルタ仙台が特別な一日に勝利。再び輝くために「今日の試合に臨んだ姿勢をベースにするべき」 (3ページ目)

  • 戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei
  • photo by J.LEAGUE/J.LEAGUE via Getty Images

 試合後の原崎監督と選手たちは、震災から11年が経った現在の思いを聞かれた。仙台市出身の遠藤は、「一番伝えたいのは風化させない、ということ。(震災を受けて)サッカーができる喜びを感じていた。その気持ちを忘れずにやり続けたい」と話した。遠藤が胸に宿す思いは、チーム全体に共通するものに違いない。

 東日本大震災を知るMF梁勇基は、「相手も被害のあった地域のチーム。厳しい試合になると思っていたので、一番欲しかった勝ち点3をとれたのは良かったと思います」と切り出した。J1のサガン鳥栖から3シーズンぶりに古巣に復帰し、当時と同じように主将の腕章を巻く40歳は、この日抱いた感情に持続力を持たせたいと考えている。

「今日の試合に臨んだ姿勢をベースにするべき。それができれば、結果がついてくる。まだまだ良くなる」

 2011年のチームは、「被災地の希望の光になる」との思いに貫かれていた。クラブ史上最高位の2位に食い込んだ2012年のチームも、初めてAFCチャンピオンズリーグに挑戦した2013年のチームも、「震災からの復興をあと押ししたい」との使命感をピッチ上で表現した。

 来年も、再来年も、3月11日はベガルタにとって特別な一日になるだろう。

 そのうえで言えば、人々が震災の記憶を呼び覚まし、注目度が高まる3月11日前後の試合はもちろん、それ以外の試合にも同じ熱量を注ぐことによって、被災地や被災者を勇気づけ、クラブの目標を達成できるはずだ。

 特別な一日に臨むメンタリティをスタンダードとすることで、ベガルタは再び輝きを放つことができる。

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