イニエスタのタイトル獲得にかける思い。「自信を胸に。自分たちで限界を決めるべきではない」 (3ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text by Takamura Misa

 ただし、昨年3位になれたから今年もいけるだろうという気持ちでいたら、必ず失敗します。昨シーズン勝ちとったものは、昨年の努力で勝ちとったもので、今年また何かを成し遂げようと思うのなら、より一層の努力をしなければいけません。少なからず僕はそのことを自分に求めながら、右肩あがりに調子をあげていけるシーズンにしたいと考えています」

 個人的には、J1リーグの戦いも今年で5シーズン目を数える。昨年5月、37歳の誕生日にヴィッセルとの2年の契約延長を発表したイニエスタだが、自身のキャリアにはどのような考えで向き合っているのだろうか。

「僕は今、チームメイトとの日々の練習をすごく楽しめていますし、ヴィッセルでのプレーにやる気とモチベーションを感じています。これは、僕がキャリアを重ねるうえでとても重要な部分です。

 サッカー選手としてまだまだ成長したいですし、チームのために貢献したい、力になりたいと思うこともたくさんあります。そして、僕のそばにはいつもサポーターがいて、美しい神戸の街があって、サッカーをできるすばらしい環境もあります。

 僕も、家族も、一プロサッカー選手としても、自分のホームと呼べる場所を見つけられたような感覚で毎日を過ごしながら、すごく満足感を持ってサッカーができています。その時間を少しでも長く続けるために、より多くの人たちに夢を与えられるようなプレーを可能な限り長く続けたいと思っています」

 彼にとっての今シーズン初の公式戦となった2月23日の浦和レッズ戦。ビハインドを追いかける展開のなか、後半63分からピッチに立ったイニエスタは、精度の高いクロスボールで槙野智章の同点ゴールを演出した。限られた時間のなかで示したその確かな輝きは、改めてヴィッセル神戸にアンドレス・イニエスタがいる心強さを示すものだった。

(C)VISSEL KOBE(C)VISSEL KOBEこの記事に関連する写真を見るアンドレス・イニエスタ
1984年5月11日生まれ。スペイン出身。バルセロナのアカデミー育ち。2002年にトップデビューを果たし、以来、チームの中心選手として活躍。スペイン、欧州の数々のタイトル獲得に貢献した。同時にスペイン代表でも奮闘し、EURO2008、2010年W杯、EURO2012で栄冠を手にする。2018年、ヴィッセル神戸に移籍。Jリーグでワールドクラスのプレーを披露し、多くのファンを魅了。一緒にピッチに立つ敵、味方の選手たちにも多大な影響を与えている。

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