イニエスタのタイトル獲得にかける思い。「自信を胸に。自分たちで限界を決めるべきではない」 (2ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text by Takamura Misa

 そのなかで、シーズン終盤にかけて右肩あがりでコンディションを高められたこと、来日してからの4シーズンのなかでもベストと言える状態でサッカーを楽しみながらシーズンを終えられたことは、今シーズンの戦いに向けても大きなモチベーションになっています。

 また、大きな挑戦を前に気持ちの高ぶりも感じています。今のポジティブな状態を保ちながら、この先も戦っていければと思っています」

 イニエスタにとっての"大きな挑戦"とは、"タイトル"を見据えた戦いを指す。2年ぶりの参戦となるAFCチャンピオンズリーグはもちろん、J1リーグをはじめとする国内戦においても、だ。

「"アジアナンバーワンクラブ"というクラブが掲げる目標は理解していますが、正直、僕自身は大会を分けて"タイトル"を目指そうとは思っていません。自分たちで限界を決めるべきではないと思うからです。

 我々にはすべての大会、試合に勝ちきっていくためのチーム力があるという自信を胸に、目の前の1試合に集中して勝ちを積み上げていく意識でシーズンを進めていくべきだと思います。もちろん、タイトル獲得は並大抵の努力で実現できるものではないですが、すべての結果は自分たちの活躍、メンタリティ次第で決めることができます。

 だからこそ、自分たちで限界を決めず、目の前の試合に一つひとつ勝ち進むことにフォーカスを当てて、戦っていきたいと思います」

 そのためには近年、三浦淳寛監督のもとで着実に積み上げてきたチーム力を継続しつつ、ステップアップを図ることが大事だと強調する。

「三浦監督のもとでの戦いは今年で3シーズン目になりますが、チームとしてのプレースタイルを確立し、攻守両面で一貫性、継続性を持って戦えていることは、さまざまなプラスの要素を生んでいると感じています。

 何かを成し遂げるには......それは、サッカーに限らず人生においても時間を要します。特に大きなプロジェクトになるほど、困難に直面することも多くなります。事実、僕がヴィッセルに加わってからも、いい時ばかりではなく、難しい局面を過ごしたシーズンもありました。

 ですが、我々はクラブをあげて、アジアナンバーワンを目指すプロジェクトを成功させるために、たくさんの努力を重ねてきました。シーズンを重ねるごとに、チームのスタイルに合致した選手が増えている事実もそれを示していますし、そうした過程があってこそ、我々は昨年、クラブ最高順位となるリーグ3位という成績を収められたのだと思います。

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