フロンターレ快勝で開幕時の不安は払拭も物足りなさ。3連覇へのキーワードは「#勝ちながら修正」

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

まだ物足りなさは拭えない

 懸案だった新戦力の融合においても、試合を重ねることで改善が見られている。特にチャナティップは、自らボールを運ぶところと、シンプルにパスを出すところの判断が開幕時より明確になっている。

 これまた懸案だったアンカーについても、プロ2年目の橘田が戦列に復帰してからは、攻守にチームを安定させている。守備におけるカバー範囲の広さや相手に寄せる、奪いきる力、攻撃では横浜FM戦でも見られたようにスペースに顔を出す動きで、チームにひとつの答えを提示している。

 また、鹿島戦でプロ初先発ながらプロ初ゴールをマークした佐々木は、チームにとって明るい材料と言えるだろう。鹿島戦の42分には脇坂に鋭い斜めのパスを通すなど、"川崎のSB"として攻撃でも存在感を発揮していた。昨季加入し、今やチームに欠かせない選手へと台頭した橘田のように、大卒ルーキーの台頭はチームの総合力を上げ、新しい絵を描かせることになる。

川崎は中2日、一方の鹿島はルヴァンカップの大分トリニータ戦が延期になりコンディションが万全だった。2−0で折り返したこともあり、後半は守備の時間が長くなることはある程度、想定された。実際、後半は押し込まれる時間帯が長くなったが、それでも無失点で抑え、試合終盤もゴールを許す隙すら与えなかったところは、さすがと言えるだろう。

 連戦を戦いながらチームを導く指揮官の修正力と、対応する選手の適応力により、開幕時に抱いた不安は払拭された。だが、まだまだ物足りなさは拭えない。昨季までのように相手を圧倒するようなサッカーができているかと言えば、現時点では"否"だからだ。

 鬼木監督も鹿島戦について、「欲を言えば、3点目を取れたら、よりよくなると思います。そこは浦和戦に向けた課題です」と振り返っている。

 連戦の続く川崎は、3月2日に早くも浦和と再戦する。スーパーカップでは無得点に終わっただけでなく、戦術的に見ても相手のほうが試合巧者だった。次は結果、内容ともに上回ることができるか。3連覇という目標を見据えた時、同じ轍を踏まないことも、ひとつのポイントと言えるだろう。

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