フロンターレ快勝で開幕時の不安は払拭も物足りなさ。3連覇へのキーワードは「#勝ちながら修正」 (2ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

王者らしからぬ振る舞い

 ただし、攻撃に意識が振れたチームは、横浜FMに2−4と逆転勝利を許した。特に57分、58分と立て続けに失点した姿には"らしくない"と表現したくなるほどだった。

 守備に意識が偏れば攻撃がつたなくなり、攻撃に意識が傾けば守備がもろくなる。それは、どこか王者らしからぬ振る舞いに見えた。なぜなら、攻撃に迫力があり、守備が強固だったから、彼らは連覇という結果を手にしたからだ。

 まさに鹿島戦は、その両輪を再び体現した試合だったと言える。

 開始2分に生まれた知念のゴールは、相手のビルドアップのミスを突いて決めたものだ。だが、ミスを生んだのは、間違いなく知念のプレッシャーによる効果だった。その得点シーンに表れているように、この日の川崎が見せたのは、"攻撃のための守備"だった。

 鹿島の指揮を執っていた岩政大樹コーチの言葉が、それを端的に表している。

「選手たちの目線が近くから探しているのも気になりました。実際には、相手の中盤の背後、FWの背後、相手を見ながら相手が出てきたところを狙っていました。川崎はそれほどハイプレスにはこなかったように見えましたが、それでも選手たちには速く見えたのではないか」

 開始早々に失点したことにより、鹿島の選手たちが慎重なプレーを選択してしまったという側面もあるが、裏を返せば、それだけ近くにパスを出させるプレッシャーのかけ方を川崎の選手たちがしていたことになる。

 決定機とまではいかなかったが、20分には連動した守備で相手のパスコースを限定していくと、右サイドで山根視来が鈴木優磨からボールを奪った。そこから知念、家長、脇坂泰斗とつなぎ、逆サイドまで運ぶと、最後は小林悠がシュートを狙った。

 その守備のシーンに表れていたように、鹿島の選手たちにとっては近いところにパスを出さざる得ない状況を作られていた。すなわち、川崎は高い位置でボールを奪いやすいように相手を追い込んでいたのである。

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