ガンバ大阪・片野坂知宏監督に期待する攻撃サッカーの復活。3年でJ3チームをJ1に導いた熱血指揮官の手腕に注目 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

ハーフタイムに交代した狙い

 片野坂監督に求められるのは、その攻撃サッカーの復活だろう。3−4−2−1のシステムをベースとし、最終ラインからボールをつなぐ大分でのスタイルを、タレントが揃うG大阪でも実現できるのか。そこが今季の最重要テーマとなる。

 開幕戦では退場者を出したこともあり、1−3で鹿島に完敗。続くセレッソ大阪とのルヴァンカップでも2−3と敗れている。スタイル確立がひと筋縄ではいかないことを予感させながら迎えた、浦和レッズとの一戦。しかし、リカルド・ロドリゲス体制2年目の相手に、完成度の違いを見せつけられる展開となった。

 とりわけ、前半は防戦一方だった。立ち上がりからボールを支配され、右サイドの裏をたびたび突かれては、致命的なピンチを次々に招いた。

 違和感を覚えたのは、ボールをつながずに、長いボールを多用したこと。GKも含めて最終ラインからボールをつなぎ、隙を見出しながらサイドや背後のスペースを一気に突く大分のサッカーをイメージしていたから、拍子抜けした感は否めない。

 浦和のプレッシャーの前に、やろうとしたのにできなかったのか。あるいは結果を最優先し、リスクを回避したのか。いずれにしても、"片野坂カラー"を見出すことは難しかった。

 もちろん、新たなスタイルを実現するには相応の時間を要するもの。完成度の高い相手に対し、やりたいことができないのは、この時期では致し方ないのかもしれない。

 それでも、G大阪はただ黙ってその状況を受け入れていたわけではない。新監督の修正力が、まるで勝ち目のなかった試合に希望の光を灯したのである。

 片野坂監督は、ハーフタイムに1トップのレアンドロ・ペレイラに代えて、ルーキーの山見大登を投入。押し込まれた右サイドにもテコ入れを図り、右WBの柳澤亘に代えてシャドーの石毛秀樹を送り込み、シャドーを務めていた小野瀬康介を右サイドに移した。その狙いはこうだ。

「レアンドロは守備を意識してやってくれましたが、疲労が見えていたので機動力のある山見を前線に入れました。柳澤も連戦ということもあったので、小野瀬をウイングハーフに戻し、守備もできてボールも持てる石毛を入れて、なんとか自分たちのペースにもっていけるような形にトライしました」

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