片野坂知宏監督の使命は「強いガンバをとり戻すこと。今年の積み上げの先にはタイトルも描ける」 (4ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text by Takamura Misa
  • photo by (c)GAMBA OSAKA

 そうしてピッチの内外で"片野坂イズム"を伺わせながら、順調に進んできたチームづくりだったが、沖縄キャンプ後に新型コロナウイルスの感染者が複数名出たため、1週間の活動休止に。開幕へのラストスパートをかけたい時期に、プレシーズンマッチが中止になったり、選手個々のコンディションにばらつきが出てしまうなど、ブレーキをかけられた感は否めない。

 そのなかで迎えたJ1リーグ開幕戦、2月19日の鹿島アントラーズ戦も、前半のうちに退場者が出たことも響いて黒星発進となった。

 だが、そのことは片野坂監督の信念を揺らがすものではない。試合後に語った言葉がそれを物語っている。

「鹿島戦に向けて準備してきたことを選手はしっかりトライしてくれた。鹿島相手に10人でプレーしなければいけない厳しさもあったなかで、最後まで走りきり、今持っているものを出しきってプレーしてくれたと思います。その姿勢を継続し、かつ修正すべきところからは逃げずにチャレンジをしながら、相手を上回るガンバらしいサッカーができるように積み上げていきたいと思っています」

 その継続の先に"強いガンバ"の姿があるという確信があればこそだ。

photo by (c)GAMBA OSAKAphoto by (c)GAMBA OSAKAこの記事に関連する写真を見る片野坂知宏(かたのさか・ともひろ)
1971年4月18日生まれ。鹿児島県出身。鹿児島実高卒業後、1990年にJSLのマツダSC(サンフレッチェ広島の前身)入り。左サイドバックとして活躍した。1995年に柏レイソルに移籍し、以降、大分トリニータ、ガンバ大阪、ベガルタ仙台でプレー。2003年に現役を引退。その後、古巣となる大分、ガンバ、広島などで下部組織やトップチームのコーチを歴任し、数々のタイトル獲得に貢献した。2016年に当時J3まで転落していた大分の監督に就任。3年でJ1昇格を決めるなど、高い手腕を発揮。そして今季からガンバの指揮を執ることになった。

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