FC東京が見せたのは旧スタイルの「らしさ」。「完成度はまだ20%にも満たない」新スタイルはどう変貌するか (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 しかし、だからといって、現段階で"ダメ出し"するのもナンセンスだ。

 新たなスタイルを構築するには、それなりの時間がかかるのは当然のこと。しかも、新型コロナウイルスの感染拡大が続く現在、思うままに練習やミーティングを重ねることは不可能に近く、新監督のアイデアを浸透させるには、これまで以上に時間を要する。

 アルベル監督が口にした「プレースタイルを大きく変えたあと、わずか1カ月の準備期間でこの開幕を迎えた。多くの選手がこのスタイルに慣れていなかった」というコメントは紛れもない事実であり、「選手は伸びしろだらけ。完成度はまだ20%にも満たない」というのも、決して言い訳には聞こえなかった。

 どんなに高い理想を掲げようとも、負けが続けば選手は自信を失い、迷いなく目標に向かっていくことが難しくなる。従来の武器も効率よく生かしつつ、結果に結びつけながら、目指すプレースタイルへと変更を図っていけるなら理想的だ。

 アルベル監督は語る。

「選手は勝利に飢えている。学ぼうとする意欲に満ちている。新しいプレースタイルとともに道を歩み始めたばかり。我々は数年後にチャンピオンにふさわしいチームに育つため、ベースを構築する必要がある。当然ミスは犯すだろう。だが、今日表現した戦う姿勢があれば、目標を達成できると思う」

 新指揮官のお手並み拝見、である。

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