興梠慎三「選手としてのモチベーションはあまりなかったかも」。そこから起こった心境の変化、移籍を決めた理由

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by (C)2022 CONSADOLE

「僕はレッズに育ててもらったと思っています。サポーターにもすごく感謝しています。だから、これまでにオファーをいただいた時は、移籍という結論にはならなかったんですね。でも去年、試合に出られない状況が続いた時に、ミシャから連絡が来て『お前はまだ終わる選手じゃないぞ。うちに来てほしい』と言われたんです。

 もちろん、レッズで試合に出ている選手よりも自分のほうがやれるとも思っていましたけど、それを決めるのは監督ですから。監督に選ばれなかっただけなので、自分自身、ある意味であきらめはついていたんですね。試合は出られなくても、チームのためにやっていこうと思っていました。

 ただ、ミシャから『来てほしい』と言われた時に、その言葉がすごく胸に響いたんです。自分を必要としてくれるクラブに行って、本気でタイトルを獲るために頑張っていこうと。すごく悩みましたけど、家族も後押ししてくれましたし、レッズのサポーターにも『残ってほしいけど、俺らは応援する』という言葉もいただいたので、最後は迷いなく決断することができました」

---- 昨季は試合に出られない状況のなかで、どのような心境にあったのですか。

「自分のほうができるという思いがあった一方で、チームが向上していくためには若い力が大事だというのも理解していました。35歳の自分が出るよりも、若い選手が試合に出たほうが、未来が見えてくるのかなと。

 チームのことを考えたら『自分が出られなくてもしょうがないな』と割り切っている自分もいて。それがいいのか悪いのかわからないんですけど、試合に出て活躍したいという、"いちサッカー選手"としてのモチベーションはあまりなかったのかもしれないですね」

---- 若手に自身の経験を伝えていきたい、という想いもあったのですか。

「そうですね。もう、よくわからない目線からチームを見ていたような感じですね(笑)。選手というよりも、コーチ目線で見ていたようなところもあったと思います。

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