武田修宏からJリーグへのメッセージ。「クラブも選手も色・個性を追求してほしい」 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

【その瞬間、ふいに涙が出てきた】

――武田さんが一目置く日本人ストライカーは誰ですか?

「やっぱり釜本(邦茂)さんです。あの時代に202ゴールとっているわけですから。Jリーグ30年、JSLと合わせて約50年の歴史のなかでナンバーワンです。その次は岡崎、カズさん、そして高原(直泰)。決めてほしい時に決めてくれる選手ですね」

――ライバルはいましたか?

「自分でした。武田修宏は武田修宏だから。小学校の時、好きな選手は?と尋ねられた時、自分自身かなと答えていました(笑)。自分には自分の長所があった。プロである以上、負けたくないという気持ちはゴンちゃんやカズさんにはあったけれど、代表などでは、プロフェッショナルという仲間になる。仲間でもあるしライバルでもある。要は自分自身との戦いなんです」

――岡崎はすばらしいですよね。

「滝川第二高校時代から見ていますが、高校時代は中山ゴン選手を目指していたみたいです。年齢とともに成長していった選手です。真面目に向上心を持って、壁にぶつかっても進化していく姿も見ていますし、その結果、欧州で揉まれて、世界のトップリーグであるプレミアリーグで優勝しました。一度インタビューした時、常に『このクラブはどうしたら点がとれるか、結果を出せるか』、クラブの戦術、チームメイトの特徴を考えながら、自分自身も変化、進化していく姿勢を持っていました。試合後のインタビューでの記者対応もしっかりしていてすばらしく、ひたむきさといい、人間性といい、最高じゃないですかね」

――1986年に読売クラブに入って以来、2001年まで現役を続けました。一番思い出に残っている試合は?
 
「日本代表に入りたい思いで読売クラブに入って、25歳でJリーグが発足してプロ選手になった瞬間ですね。子供の頃からプロができると思ってサッカーをしてこなかったこともありますが、国立競技場で行なわれた開幕戦の現場で、『サッカー続けてきてよかった。自分は劇的な場面にいるんだな』と、つくづく思いました。

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