J1リーグ3連覇のキーマン、脇坂泰斗26歳。「ミスターフロンターレ」中村憲剛の魂を受け継ぐ男 (3ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

【新戦力を生かす王者の風格】

「僕らはシステムうんぬんというよりも、相手の配置を見ながら、守備の追い方も、攻撃の立ち位置も変えていく。サッカーは相手がいるスポーツなので、ゲームのなかで素早く状況を察知して対応していきたい。

 今言ったスピードが上がってくることによって、逆に自分たちがゆっくりと進めるところとの緩急もより大きくなると思っています。また、そのスピードの使い分けができるチームだとも思うので、監督が言うスピードが上がってくることによって、いろいろな部分にメリットが出てくると感じています」

 その中心として、チームの方向性を示す役割を担う。背番号14を背負うことになった意識は、ピッチ内だけにとどまらず、チーム全体を広く見渡している。

「新加入選手や新卒選手は、チャンピオンチームに加入するということで多少、気負いのようなものを感じています。そうした気負いからか、僕らに合わせよう、合わせようとしすぎてしまっているようにも感じています。それぞれがうまく特徴を発揮できるように、自分たちが彼らのよさを引き出せるようなプレーを心がけています」

 チャンピオンだから、王者だから、昨季優勝しているからといって、自分たちに合わせろというおごりは微塵もない。加わった新戦力がのびのびとプレーすることが、チームの戦力アップになり、相乗効果を生むことを知っているからだ。

 むしろ、そこに王者の風格を感じた。

「チームスポーツなので、もちろん合わせるところは合わせなければならないですが、その意識が強くなってしまうと、自分たちも含めて、それぞれの個性やストロングが活きないですからね。合わせてほしいところは、自分が合わせるといった工夫や、プレーが切れたタイミングでコミュニケーションを取って、相手の考えを聞くようにしています。まあ、自分も課題だらけなので難しいところではあるのですが、そこに気を配らなければいけない立場だとも思うので」

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