北海道コンサドーレ札幌の2022シーズン。独特の攻撃サッカーは着実にアップデート (2ページ目)

  • 井川洋一●文 text by Igawa Yoichi
  • photo by Getty Images

【チームを支える注目選手たち】

 ペトロビッチ監督は自らのスタイルを"超アグレッシブなトータル・フットボール"と公言し、主に3-4-2-1のシステムを用いて、近年はマンツーマンのハイプレスも仕掛けるようになっている。その意味でも選手は11人全員が重要になるが、やはりクラブ一筋15年目のシーズンを迎えるバンディエラ、宮澤裕樹の存在は絶対に欠かせない。

「北海道出身のコンサドーレの象徴です」と河合氏は言う。「特に昨シーズンは、彼が不在だった試合は1度も勝てていない。文字どおり、チームに不可欠な存在です。最終ラインの中央や中盤のセンターで全体を落ち着かせ、司ってくれます」

 守備陣には、個人的には"札幌のミハイロビッチ"と呼びたくなる福森晃斗も健在だ。左足からとてつもないキックを蹴るセンターバックと言えば、少し前までボローニャで冨安健洋を指導していた元ユーゴスラビア代表と重ね合わせたくなる人もいると思う。ただし河合氏は、この29歳のレフティーにあえて注文をつけたいと言う。

「左足は文句なし。一発で局面と流れを変えられるサイドチェンジや、前線へのフィードはチームの大きな武器でもある。彼がいれば、ビルドアップの質が変わるし、セットプレーも貴重な得点チャンスになる。ただあえて言いたいのは、トランジションの部分。集中力を含め、その辺りを改善していけば、もっともっといい選手になれるはずです」(河合氏)

 また、札幌には日本サッカー史上随一の天才、小野伸二がいる。先頃、クラブと生涯契約を結んだと報じられた42歳の存在は、「コンサドーレに残ってくれるのは本当に心強いし、個人的な思いとしてはこの先も一緒に仕事ができるのはうれしい」と河合氏は言う。また37歳の守護神、菅野孝憲は昨季、「ベテランの価値をあらためて示してくれた」とフロント側の立場として、河合氏は続ける。

 そのためにも、「ボールを握って、多くの選手が攻撃に関わるミシャスタイル」で、目に見える結果を掴みたいところだ。指揮官と選手はもちろん、クラブに関わる全員が共通して掲げている今季の目標は、「ACL出場権」と「タイトル」。つまり、リーグ戦で3位以上に入り、リーグカップか天皇杯でトロフィーを掲げたい。

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