今季30年目のJリーグ。各時代で無敵を誇ったチームたちの最強布陣を紹介 (3ページ目)

  • 後藤健生●文 text by Goto Takeo

サンフレッチェ広島(2015年)

4年で3度の優勝を勝ち取った、サンフレッチェ広島のフォーメーション4年で3度の優勝を勝ち取った、サンフレッチェ広島のフォーメーションこの記事に関連する写真を見るFW/佐藤寿人(浅野拓磨) 
MF/柴崎晃誠、ドウグラス 
MF/柏好文、ミキッチ 
MF/青山敏弘、森崎和幸 
DF/水本裕貴、千葉和彦、塩谷司 
GK/林卓人 
監督/森保一

 2006年にイビチャ・オシム監督の愛弟子ミハイロ・ペトロヴィッチが監督に就任。翌2007年にはJ2降格の憂き目に遭ったが、サンフレッチェ広島は同監督を留任させた。

 翌年にはボランチが最終ラインに下りてDFが攻撃に参加する、独特の攻撃型サッカーを完成させて1年でJ1に復帰。昇格初年の2009年にJ1で4位と躍進した。しかし、タイトルには手が届かず、さらに経営状態悪化によってペトロヴィッチ監督は退団を余儀なくされる。

 あとを継いだのがコーチから昇格した森保一だった。勝負にこだわる森保監督はペトロヴィッチ監督路線を踏襲しながら、守備も整備して2012年に広島をJ1リーグ優勝に導き、翌年も連覇。2014年こそ無冠に終わったものの、2015年に覇権を奪還して4年間で3度の優勝という偉業を達成した。

 日本で攻撃型サッカーが広まるきっかけを作ったペトロヴィッチ=森保体制の広島にとって、欠かせないボランチとして戦術眼のある森崎和幸と青山敏弘が活躍。両ウイングバックのミキッチや柏好文がすばらしいパフォーマンスを見せ、点取り職人の佐藤寿人が毎シーズン2桁得点を記録。2015年には中山雅史の持つ当時のJ1最多得点記録に並んだ。

横浜F・マリノス(2019年)

超攻撃的サッカーを披露した2019年の横浜F・マリノス超攻撃的サッカーを披露した2019年の横浜F・マリノスこの記事に関連する写真を見るFW/遠藤渓太、エリキ、仲川輝人 
MF/マルコス・ジュニオール 
MF/扇原貴宏、喜田拓也 
DF/ティーラトン、畠中槙之輔、チアゴ・マルチンス、松原健 
GK/朴一圭 
監督/アンジェ・ポステコグルー

 2018年に前年までオーストラリア代表監督として日本代表とW杯予選で戦っていたアンジェ・ポステコグルー監督が就任。それまで守備的サッカーのイメージが強かった横浜F・マリノスを一気に攻撃型に変身させた。

 就任初年度こそ12位と低迷したが、2年目の2019年はその攻撃サッカーが開花。リーグ戦34試合で38失点と失点も多かったが、68得点を決め、「1点取られても2点以上取って勝つ」というスタイルを貫いてJ1優勝を飾った。

 トップ下のマルコス・ジュニオールが攻撃を組み立て、サイドから切れ込む仲川輝人が決めるという形で、この2人が各15ゴールを奪って得点王の座を分け合った。また、サイドバックの松原健とティーラトンが再三インナーラップして相手陣内のバイタルエリア付近まで進出して攻撃を組み立てた。

 そのため、最終ラインは事実上2バックのようなものだったが、スピードのあるチアゴ・マルチンスと畠中槙之輔のコンビは強力で、DFラインの背後は足のテクニックに自信を持つGKの朴一圭がカバーした。

 変幻自在の攻撃サッカーは確かに見て楽しいものだったが、翌2020年には対戦相手から研究され、守備の弱点を衝かれることになる。

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