永木亮太、7年ぶりのベルマーレ復帰。王者アントラーズとレジェンド小笠原満男から得た大きな財産 (3ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • photo by (C)SHONAN BELLMARE

【小笠原は勝ち方を知っていた】

 そこまで思う小笠原とともにプレーしたことで、彼は何を感じ得たのだろうか。

「一緒にプレーしたのは3年間でしたけど、自分のなかでは大きな財産になりました。みんなが言うように、人一倍負けず嫌いで、何よりも安心感があった。満男さん自身はそれほど多くは語らないけど、背中で引っ張ってくれるし、プレーでも見せてくれる。

 それにやっぱり、勝ち方を知っていた。同じピッチに立つと、本当にそれが伝わってくるんです。そう思うくらい、すべてにおいて勝つことだけを考えてプレーしていた。

 結果的に満男さんが引退してから、アントラーズはタイトルを獲れていないという現実がありますよね。それだけ、人としても選手としても存在感があったということだと思います。そこは自分のなかで悔しさであり、もどかしさとして残っていますけど、今も自分が目指すところ。決してマネすることはできないですけど、自分もそういう存在になりたいと思っています」

 プレーで見せ、背中でチームを牽引する選手----。そこに、永木が湘南への復帰を決めた背景があるように感じた。

 リーグ戦で30試合以上に出場するシーズンもあったように、鹿島でもコンスタントに出場機会を得てきた。だが、昨季は途中出場も多く、わずか15試合の出場にとどまった。

「選手として試合に出たいと思うのは当たり前だと思いますけど、試合に起用するかしないかを決めるのは監督。選手はあくまで使われる立場だということは十分にわかっていますが、自分としてはフィジカル的にも技術的にも自信があったなかで、出場機会を得られなかった。

 出場時間自体も少なかったですし、自分自身が試合に出ないとリズムを掴めないタイプだったこともあって、自信があっただけにもがいたというか、悔しさはかなりありました」

 そうした永木の葛藤を感じ取っている人がいた。湘南のスポーツダイレクター(SD)である坂本紘司だった。鹿島でくすぶっている姿を見て、2021年の夏にも期限付き移籍の打診があったことを、永木が明かす。

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