永木亮太がベルマーレで感じたチームの課題と自分の使命。「今、純粋にサッカーが楽しい」 (3ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • photo by (C)SHONAN BELLMARE

【中盤は熾烈なポジション争い】

 鹿島では時にサイドバックを務めることもあった永木だが、湘南では本来、彼が最も輝く場所、中盤を主戦場にしているという。

「得意とする中盤の底をはじめ、中盤ならばどこでもプレーできると思っています。実際、智さん(山口監督)からも、どこでもできるようにならなければダメだという話はされました。

 それにどのポジションにおいても自由度は高いので、ここじゃなければ自分の特徴が出せないということもない。むしろ自分にとっては、初めてやるシステムで、初めてやる中盤の形なので刺激というか、発見のほうが多いですね」

 33歳になれば、ある程度はポジションもプレースタイルも確立されてくる。「永木亮太といえば、こういう選手だ」という固定概念を周囲も持てば、自分自身ですら抱くかもしれない。現場を束ねる監督から、そこを打破するようにと言われたことがうれしかった。

「ポジショニングのことについては、今のこの時期にダメ出ししてもらったほうがいい。智さんは、ベテランや外国人選手、中堅、若手と関係なく、ダメなときはダメとはっきり言ってくれるので、本当にわかりやすいというか。そうした意見やアドバイスが自分のさらなる成長につながると思っています」

 そう言って永木は充実した表情を浮かべるが、熾烈なポジション争いについて触れれば、真顔になり襟を正す。

「本当に中盤のポジション争いは熾烈だと思っています。若手としては昨季も試合に出ていた(田中)聡がいて、ヨネ(米本拓司)は実力も経験も兼ね備えている。高卒で加入した鈴木淳之介も本当にいいものを持っているので、ボランチの選手層はかなり厚いと思いますよ。その争いに勝って試合に出る自信はもちろんありますけど、過信しすぎずに自分自身にも目を向けていきたい」

 そこに永木は、経験や言葉だけでなく、どんなプレーで存在感を発揮しようとしているのか。

「33歳という年齢になり、フィジカル的な部分は正直、ここから上がっていくことはないと感じています。どちらかといえば、筋力やスピードはここからきっと下がってくる。

 でも、技術のところはまだまだ成長できると思うので、特にピッチの中央に位置する中盤ではその技術が活きるはず。このサッカーではボールを失わない技術が重要になるし、ボールを受ける回数もより増えるので、自分のところで流れを止めてしまわないようにしたい」

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