育成年代に関わる中村憲剛が試合を観てきて感じたこと。「その声掛けは本当に子供のためになっているのか」

  • text by Sportiva
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

 もちろん応援ならいいと思いますが、コーチよりも大きい声で指示をすることが子供たちにとって果たしていいものかどうか。言いたくなる気持ちも理解はできますが、預けている以上、それはやめたほうがいいのかなと僕は思います。

 それから僕は息子の試合を妻と行ける時はよく観に行っていたんですが、息子のプレーで唯一怒るというか、厳しく言うポイントがありました。それは、シュートミスをしたとか、パスミスをして奪われたとかそういう技術的なことではなく、チームのために頑張らない、走らない、戦わない、自分がボールを奪われたのに追わないなど、意識してやろうと思えば誰でもやれることを怠った時です。そこに関してはかなり言いました。

 サッカーはチームスポーツですし、自分だけよければいいということはありません。自分が点を取ればいいとか、いいプレーだけできればあとは周りがやってくれるだろうと考える選手は、この先それができなくなった時に困ってしまいます。

 チームのために頑張ることは、今すぐにできることです。チームのために頑張れる選手は信頼されますし、チームメイトからだけではなく、監督からも重宝されます。その点に関しては、カテゴリーは関係ありませんし、それは実社会、オフザビッチでも同じなのではないでしょうか。

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【profile】
中村憲剛(なかむら・けんご)
1980年10月31日生まれ、東京都出身。久留米高校から中央大学に進学し、2003年に練習生として参加していた川崎フロンターレに入団。2020年に現役を引退するまで移籍することなく18年間チームひと筋でプレーし、川崎に3度のJ1優勝(2017年、2018年、2020年)をもたらすなど黄金時代を築く。2016年にはJリーグ最優秀選手賞を受賞。日本代表・通算68試合6得点。ポジション=MF。身長175cm、体重66kg。

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