育成年代に関わる中村憲剛が試合を観てきて感じたこと。「その声掛けは本当に子供のためになっているのか」 (2ページ目)

  • text by Sportiva
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

 レジスタFCは準決勝でも横河武蔵野FCのパワフルな突破を図るFW1人に対して、GK合わせて6人がペナルティエリア内で止めにはいっていました。その時の選手たちの集中力と結集力には正直驚きました。

U-12決勝、レジスタFC対鹿島アントラーズは強度の高い試合だったU-12決勝、レジスタFC対鹿島アントラーズは強度の高い試合だった ヨーロッパはもちろん、Jリーグでも「インテンシティ」「プレー強度」のところはここ数年でより注目されていますし、高校サッカーでは青森山田高校のようにプレー強度の高い高校が全国優勝していますから、それが今の小学生にも影響しているんだろうなと思います。

 その点に関していうと、この世代特有なのですが、体が大きい選手がどうしても有利になってしまいます。今大会でもサイズのある選手やフィジカル能力のある選手たちが活躍していましたが、彼らがここから年を重ねた時に、いずれその差がなくなってしまうことで、自分の武器を見失ってしまうことがよくあるので、今からそこに頼るだけではなくもっと細かい部分、ポジショニングやテクニックを突き詰めてほしいなと思います。

 そのほかにも、小さい選手、小さくてもフィジカルが強い選手、技術がある選手、スピードがなくてもとても上手な選手など多様な選手がそろっていました。そういう選手たちが、それぞれの伸び方をしてほしいなと思います。

【頑張る選手は信頼される】

 僕も親になって、さまざまな種類の小学生年代の試合を観るようになりました。試合中に多くの声掛けを聞いてきましたが、そこで感じるのは、その声掛けは本当に子供のためになっているのかということです。時にプレーヤーズファーストが置き去りになっている場面に出くわすことがよくあります。また、コーチがベンチから指示をしている逆側から親御さんが指示を出すシーンも見かけたことがあります。その時、言われた子供はどっちの指示を聞けばいいかわからない困惑した顔がとても印象的でした。

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