中村憲剛、内田篤人、阿部勇樹......。スター選手の監督姿をすぐ見たい。福田正博が指導者ライセンスについて提言 (3ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

【2050年の日本サッカー界に向けて】

 指導者ライセンスに関して言えば、JFAの体系を見直してはどうかと思う。現状のサッカーの指導者ライセンスは、指導対象がプロレベルのS級を頂点に、その下にアマチュアトップレベルのA級、B級、C級、D級とキッズといった具合に裾野が広がる構図になっている。

 これはA級まで到達しなければS級になれない現状を反映しているのだろうが、詳しくない人からすれば、まるでS級に至る道筋の通過点としてA級やB級などが存在しているように映る。

 日本サッカーの『いま』を背負うプロ選手たちを指導するのがS級だが、それと同等かそれ以上に日本サッカーにとって重要なのが、未来を担う育成年代の選手たちであり、彼らを指導するのがA級より下の指導者たちであることは忘れてはいけない。

 育成にもA級U-15、A級U-12といった専門的なライセンスはある。ただ、それだけでは足りないように感じる。育成年代の指導者が誇りと自覚と責任を持てる体系を構築してもらいたい。そのためには現状のS級ライセンスを別柱にするのがわかりやすいと思う。

 こうした提言がすぐに実行されることはないと理解しているが、それでもよいところは継続しつつ、見直すべきところは「いま」からよりよく改善するべきだと思っている。なぜなら、これからの日本は人口減少・少子高齢化が加速していき、2050年の日本は4人に1人が75歳以上という超高齢化社会になると推測されているからだ。

 そのなかでもサッカー人口を確保し、多くの人たちが観戦に訪れるスポーツであるためには、いまから国内サッカーの根幹を支えるJリーグがもっと注目や人気を集めるものになる努力をしなければいけない。

 そして、この2050年は、『JFA2005年宣言』でのワールドカップ優勝という目標のリミットでもある。実現に向けて30年も時間があると悠長に構えてはいられない。Jリーグが始まった1993年から見れば、30年後の2022年は遥か彼方に感じていたが、いま思うのは瞬く間に30年経った感覚だ。

 30年後の日本サッカーがいまよりも発展しているために、いまこそあらゆることを見直していくべきではないかと思う。

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