川崎フロンターレ鬼木監督が振り返る2021シーズン。三笘薫と田中碧の移籍後も「誰が出てくるか、期待のほうが大きかった」

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

川崎フロンターレ 鬼木達監督インタビュー 前編

2021年のJリーグの主役はまたしても川崎フロンターレだった。シーズン中にはJ1で25戦無敗の記録を作り、28勝8分2敗の勝ち点92という数字でリーグ連覇を達成した。ただし、その道のりは決して平坦だったわけではない。いくつものターニングポイントを乗り越えられた過程と原動力を、指揮官である鬼木達監督に振り返ってもらった。

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2021年、監督就任5年目で4回目のJ1優勝を果たした川崎フロンターレの鬼木達監督2021年、監督就任5年目で4回目のJ1優勝を果たした川崎フロンターレの鬼木達監督この記事に関連する写真を見る

【選手たちから頼もしさを感じた】

――2021シーズンはJ1連覇を達成しました。監督として1年を振り返ると、どのようなシーズンでしたか?

「長かったというか、やはり大変なシーズンだったなと思います。まずはクラブの象徴だった(中村)憲剛が引退し、彼がいないなかでのスタートでした。加えてレギュラーだった守田(英正)も海外に移籍し、シーズン途中には三笘(薫)と(田中)碧の移籍もありました。ケガ人が多い時期やACL(AFCチャンピオンズリーグ)後は隔離期間を強いられるなど、さまざまな面で苦しいことが多かった1年でした。

 その反面、選手たちからは頼もしさを感じました。一人ひとりに自覚が芽生え、ケガ人が多い時期も、新たな選手が出てきてくれ、パワーを強く感じました。特に長丁場を戦うリーグ戦においてはチーム全体に成長があった1年でした。

 ただし、カップ戦においてはACL、ルヴァンカップ、天皇杯と勝ちきれなかっただけに、自分のなかでもう一度、考え直さなければいけないと思っています。天皇杯では準決勝で敗退し、シーズンの最後に自分自身への課題をもらったなと思っています」

――タイトルを逃したカップ戦で共通して感じたことはあるのでしょうか?

「もっと、勝ちきる強さが必要でした。自分たちの戦い方で勝つのが一番ですが、そうした形でなくとも、相手の対策を上回る力強さが必要だと感じています。リーグ戦では仮にその試合に勝てなかったとしても、次に向けて修正する時間もあれば、次の試合で取り戻すこともできます。でも、カップ戦は90分、ないしは120分で決めきらなければならない。改めて、いろいろなところにパワーを使う必要があると感じました。そこは監督である自分のところで、少し解決できることなのかなとも思っています」

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