大久保嘉人を変えた風間八宏監督との出会いと言葉。「走れ」じゃなくて「止まれ」「歩け」 (3ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Getty Images

【評価基準がゴールだった】

――でも、サッカーで一番の快楽は?

「やっぱりゴール(笑)。自分のなかではそうでもなかったけど、ファン・サポーターや周りはゴールじゃなきゃ満足しないから。チームが勝ったとしても、点を取ってなかったら、俺の評価は『何もしてなかったね』で終わる。評価基準がゴールしかない。だから、ずっとゴールを狙い続けました」

――結局、ゴールが存在証明でしたね。

「中盤の選手がいいなって思っていた時はありました。ボールをパンパン散らせば、評価上がるんだなって(笑)」

――今になって、一つだけ思い出すゴールがあるとしたら?

「スペインでのゴールですね。デビュー戦(対デポルティーボ・デ・ラ・コルーニャ)で決めたヘディングがパッと出てくる。『スペインでやりたい』ってずっと思っていて。でもあの頃は、すぐ行ける時代じゃなかったし、スペインリーグが強かった時代で。そこでプレーする夢が叶って、デビュー戦でゴールって。プレッシャーも相当にあるなか、決めたのが忘れられない」
(「引退は突然決めた」後編へつづく>>)

大久保嘉人
おおくぼ・よしと/1982年6月9日生まれ。福岡県出身。国見高校からセレッソ大阪にてプロキャリアをスタート。以降、マジョルカ(スペイン)、ヴィッセル神戸、ヴォルスブルグ(ドイツ)、川崎フロンターレ、FC東京、ジュビロ磐田、東京ヴェルディでプレー。川崎時代の2013年から3年連続でJ1得点王に輝くなど、J1リーグ歴代最多の191得点を記録。日本代表ではU-23代表でアテネ五輪、A代表では10年南アフリカW杯、14年ブラジルW杯に出場。21年に15年ぶりにC大阪へ復帰してプレーし、今シーズンを最後に現役引退を表明した。

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