日本人No.1の司令塔は誰か。元日本代表「10番」名波浩がベスト10を選んだ【2021人気記事】 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・構成 text by Asada Masaki

8位 青山敏弘(サンフレッチェ広島)

 ボランチと2列目、ボランチとサイドバック、ボランチとセンターバックが連結するのは当たり前だったけれど、それに加えて、ボランチとセンターフォワード(CF)の間に1本線路を引いたのは、青山。その意味で、ボランチの概念を変えた選手だと思っている。

 自分も含め、従来のボランチもCFにパスは出していたが、青山ほどには意識していない。佐藤寿人がサンフレッチェ広島からいなくなっても、そこは変わることがなかった。

 青山は時々、ハーフラインくらいからのロングシュートを打つことがあるけれど、おそらくCFをとらえた視野の延長線上にゴールも見えているから。実際、何年か前に超ロングシュートも決めている。

 きっとバレーボールのセッターみたいな感覚でピッチ全体が見えていて、「あそこが空いているから、ツーアタックを打とう」という感覚でプレーできるのだと思う。

7位 小野伸二(北海道コンサドーレ札幌)

 伸二はJリーグ通算29ゴール(5月2日時点。以下同)しか取っていないけど、その数だけでは"小野伸二"は語れない。伸二の存在を消しにくるディフェンス陣を脇役にしてしまい、自分のパスやボールコントロールで自分自身を彩り、さらにそれをまた違う色にしてしまうような演出ができる。

 どう言葉で表現したらいいのかわからないけれど、お客さんだけでなく、味方のベンチとか、相手のベンチとか、ピッチ外で試合を見ている人が考えつかないプレーで度胆を抜くというか、サッカーIQがずば抜けて高く、今まで日本にいなかったタイプの司令塔だ。

 たぶん本人に聞けば、「僕なんて(プレーする時は)何も考えてないですよ」って言うと思うけれど、実はちゃんと計算していて、"何も考えていないように思わせる"緻密さがある。だから、あれだけファンタジーあふれるプレーを連続してできるんだと思う。

6位 土居聖真(鹿島アントラーズ)

 まずは、単純に彼のプレースタイルが好き。仕掛ける意識があって、ドリブルの姿勢がいい。だから、周りの選手を使う時でも、自分自身も、パスの受け手も、ノッキングしない。そういう形を意識しているんだと思う。

 それに、小笠原やレオ・シルバ、あるいは遠藤康とか、自分がコンビネーションを組む選手の特徴を把握している。この選手はここにパスが出てくるだろうとか、この選手はここに走ってくれるだろうとか、そういう"無意識のなかの意識"が、頭の中に強くあるんだろう。

 そしてもうひとつ、自分が考える司令塔の定義があって、それは「ゴールへの道筋を描くのが早く、そのルートの数が多いこと」。土居にはこれが当てはまる。彼がいなかったら、鹿島は点が取れなかった試合がたくさんあったはず。まだ28歳でJリーグ通算44ゴールだから、最終的に60ゴールは必ずいくだろう。

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