中村憲剛と佐藤寿人が「お父さん、お母さんに聞いてほしい」。子どもの人間形成で大事なこと (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 今、福岡の監督をしている長谷部茂利さんも、社会人としての姿勢を示してくれたし、チームをよくするために何をすべきかを常に考えているような人でした。もちろん、なかには派手な生活を送っている人もいましたけど、この人はこういうふうにサッカーと向きあっているんだなと。そこは自分とは視点が違うので、参考にしないでおこうと(笑)。

中村 反面教師もいれば、お手本もいますからね。自分がどっちに行きたいのかという時に、さっき言ったような考え方が大事になってくるし、その信念に沿って自分が成長できると信じたほうに進んで、40歳までやってきました。

---- そういう考え方を身につけるうえでは、小さい頃の環境も影響するのでしょうか。

中村 そうだと思います。特に両親は、人生の最初に出会う大人ですからね。これはプロ選手を目指す子どもや学生のお父さん、お母さんに聞いてほしいなと思いますけど、指導者やチームメイト、環境など周りに文句ばかりを言う親のもとでは、周りに文句ばかりを言う子どもが育つということ。そういう言葉を間近でずっと聞かされていたら、そういう子どもになってしまうんです。

 そうではなく、すべてではないですが、「自分にベクトルを向けなさい」と言われれば、必然的に自分に内的要因を求めるような子どもになっていきます。若い時に何を見聞きするかがすごく大事で、だからこそ一番近い大人である親御さんの言動が大切になってくると思います。そういう親御さんのもとで育てば、最終的に感謝の気持ちも生まれてくると思います。

 僕は自分のスクールの子どもたちに「感謝の気持ちを持ってプレーしなさい」とよく言うんですけど、今、当たり前のようにボールを蹴れていることは当たり前じゃないんです。誰のおかげなのか、そこに感謝の心を持ってプレーできるか。そういう声かけをしてくれる大人が近くにいるかどうかで、その意識は変わってくると思います。

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