「落ちないクラブ」大宮アルディージャ。憂慮すべきは今やその肩書きがJ2であること

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Hiroki Watanabe/Getty Images

 振り返ってみると、大宮は過去、残留争いにおいて無類の強さを発揮してきた。「絶対に落ちないクラブ」として、その名を馳せたこともあるほどだ。

 2005年に初めてJ1に昇格した大宮は、毎年のように下位に低迷し、残留争いには巻き込まれるものの、最後の最後で生き残り、降格はしない。そんなシーズンをずっと続けた。結局、2014年には16位となってJ2に降格してしまうのだが、2005~2013年までの9シーズンは、すべて12~15位とかろうじて降格を免れてきた。

 受験生の間では験担ぎのお守りとして、「落ちない」アルディージャのグッズが人気になったというエピソードも残っている。

 はたして今季もまた、見事な降格回避。土壇場の勝負強さは、さすがの本領発揮である。

 とはいえ、よくよく考えてみれば、かつて「落ちないクラブ」と称されたのは、大宮がJ1にいた時代の話である。

 それからわずか10年足らずで、J1復帰を狙うどころか、J2残留を争うクラブになってしまっているのだから、かなり憂慮すべき事態だと言っていいだろう。

 しかも、大宮は昨季も15位。今季の順位は昨季からのワンランクダウンにすぎず、まさかに思えるJ3降格危機も、突如サプライズ的に起こった結果ではないのである。

 こうなると、V字回復での逆転残留などと喜んでいる場合ではない。そもそも最下位に低迷する事態になったことを、そして、J2に落ちてもなお、残留争いをしなければいけなくなっていることを嘆くべきなのだろう。

 この日の群馬戦は今季最終戦とあって、試合後にはシーズン終了のセレモニーも行なわれた。

「本来いるべきディビジョンを目指して、今日から頑張っていく」(霜田監督)

「シーズン当初の目標とはかけ離れた結果になった。甘い部分をすべて捨て去る覚悟で来季に臨む」(佐野秀彦社長)

 当たり前のことながら、そこでJ2残留を素直に喜ぶ様子は見られなかった。

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