2021.12.03

森保ジャパンにも影響? 攻撃的な上位陣とそれ以外に二極化するJリーグ

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

 スペインに限った話ではない。欧州各国はこの手の葛藤をくり返しながら、自国のスタイルを築き上げてきた。代表チーム主導ではなくクラブチーム主導で、だ。「代表チームのサッカーは、クラブサッカーからの借り物」とは、取材を通してよく耳にした言葉だ。「クラブサッカーの最大公約数が代表チームのサッカーだ」とも言われていた。

 試合の3日前に集合して、試合が終わるや即解散するという代表チームには、特別な戦術をたてて戦う時間的な余裕がない。その時、その国で流行っているスタイルで戦うほうが選手はやりやすい。強化の理にかなっている。その国のクラブサッカーが攻撃的サッカーに染まっているなかで、代表チームだけ守備的に戦うのは非効率という考え方だ。それが、お国柄を生む原因でもある。だが、日本にこの発想はない。Jリーグ各チームが展開しているサッカーと、日本代表のサッカーが異なっていても違和感を抱く人は少ない。
 
 とはいえ、森保監督が目の前で展開されている川崎や横浜FMのサッカーを無視し、かつて広島で自らが実践したサッカーを展開するわけにはいかない。森保監督が3-4-2-1を断念しなければならなかった理由だろう。現在のJ1にあっては少数派に属する、5バックになりやすい守備的なサッカーを、日本代表に用いるわけにはいかなかった。4-2-3-1、4-4-2を経て、4-3-3に行き着いた理由は、川崎や横浜FMのサッカーを、日本を代表するサッカーだと、認めざるを得なかったからではないか。

 だが、川崎、横浜FMのスタイルにJリーグが完全に染まっているわけではない。J1の下位、J2に目を転じれば、かつての森保式を彷彿とさせるサッカーが目に留まる。

 その狭間で右往左往しているのが森保ジャパンということになる。4-3-3という攻撃的な布陣を採用しているにもかかわらず、サッカーが攻撃的ではない理由だ。中途半端に見えるのは森保ジャパンだけではない。これはJリーグ、ひいては日本サッカー界全体にあてはまる傾向だ。