「日本でプレーしたかった」川崎Fのレアンドロ・ダミアン。来日後は絶叫マシンやカレーを楽しみ、速いサッカーにも適応した (2ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 日本の第一印象は、「安全で快適な住みやすい国」だったという。チームメイトやサポーターが温かく迎えてくれ、通訳の方をはじめ、誰もが親切に助けてくれた。

「ブラジルと比べると、日本は本当に安全です。こっちでは4、5歳くらいの子どもがひとりで道を歩いていたり、登下校していたりする。それはブラジルでは、なかなか見られない光景です。すばらしい国ですね」

 人生で初めて食べたカレーが大好きになり、お気に入りの焼肉レストランもできた。特に1年目の2019年は、まだ新型コロナウイルスの影も形もなく、時間を見つけては、家族で日本中を旅行した。「もう大体、日本全国を知り尽くしています」とジョークを飛ばせるほどに。

 なかでも、「絶叫マシンマニア」と自認するレアンドロは、富士急ハイランドの虜になった。

「大好きなんですよ」と話すダミアンの表情が緩む。「もう5回ぐらいは行ったと思います。もともと絶叫マシンが大好きで、いろんなところに行きましたが、富士急ハイランドが一番ですね。ブラジルから家族や親戚、友だちなんかが来ると、まずはあそこに連れて行って、みんなで笑い合うんです」

 そんなふうに日本を楽しみ、生活に慣れていくと、ピッチ上でも徐々に力を発揮していく。来日するまでは、日本のサッカーを「なかなかイメージできず」、1年目は常に先発の機会を得ていたわけでもなかった。またチアゴ・マルチンス(横浜F・マリノス)のような同胞の「強くて速い」守備者には、癖を掴まれていることもあって苦戦した。

 それでも日本の速いサッカーに着実に適応し、1年目の一昨季はリーグ戦で9得点、2年目の昨季は13得点、そして3年目の今季はここまで22得点と、数字も伸びている。

 また、得点以外の貢献にも目を見張るものがあり、アシストはもちろん、前線からのハイプレスにも積極的だ。ブラジルのFWと言えば、攻撃のためにスタミナを温存する選手もいるが、彼は実にモダンなストライカーなのだ。

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