2021.12.03

川崎Fのレアンドロ・ダミアンが「信じられない出来事」と語るゴール。10代の頃はユースチームにも入れない存在だった

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

 翌第6節浦和レッズ戦では、浮き球のクロスを胸でトラップし、そのまま体を倒して見事なボレーを決めている。そして5月の第16節湘南ベルマーレ戦では、ゴールと相手を背にした状態でグラウンダーのパスを大きくホップさせ、すさまじいオーバーヘッドキックでネットを揺らした。どれもなかなかお目にかかれないスーパーゴールだ。

「(今季のゴールのなかで)この三つは、特に気に入っています。一番を強いて挙げるなら、神戸戦の得点ですね」

 これは2、3月の月間ベストゴールに選出されたもので、その時も「ゴールを決めさせてくれたチームメイトに感謝しています」とコメント。身長188cmの大型ストライカーだが、彼の頭(こうべ)は常に垂れている。

 その驕(おご)らない姿勢はきっと、彼の出自に見出せるだろう。レアンドロの輝かしいキャリアには、南米クラブ王者、ブラジル州選手権優勝(4度)、ロンドン五輪準優勝などのチームタイトルに加え、ロンドン五輪得点王、州選手権得点王(3度)の個人賞と数多い。しかし彼は、若かりし頃に多くの挫折を味わい、プロクラブのアカデミーに属したことはなかった。

「トライアウトはたくさん受けましたが、ほとんど断られました。プロになるまでにユースを経ていないのは、ブラジルでも少ないパターンですね。それでもいつもお父さんが応援してくれていましたし、諦めずに自分を信じて挑戦し続けました」

 10代の頃はアマチュアの試合に出て、時には「1日に3試合をこなすこともあった」という。そして下部リーグでプレーしていた頃、ブラジル南部の強豪インテルナシオナルから引き抜かれ、20歳でファーストチームに。そこで衝撃的なデビューを遂げた。

 2010年シーズン、インテルナシオナルはコパ・リベルタドーレスで決勝に勝ち上がっていた。まだリーグ戦でも得点していなかったレアンドロ・ダミアンは、決勝の第2戦で1-1の後半途中に投入されると、その4分後にゴールを決め、クラブ史上2度目の南米制覇に貢献。まさに彗星の如く、第一線に出現したのだった。