J2地力残留も見えた。降格有力候補だったSC相模原がここまで奮闘できたわけ

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by J.LEAGUE/J.LEAGUE via Getty Images

 ところが、高木監督就任後に戦い方の重心を後ろから前へ、すなわち、守備から攻撃へと移していった効果は徐々に表れ、少しずつ成績が上向き始める。

 順位こそ急激に上がることはなかったものの、着実に勝ち点を増やしていった様子は数字にはっきりと表れている。

 三浦監督が指揮した第16節までの1試合あたりの平均獲得勝ち点が0.68(16試合、勝ち点11)であるのに対し、高木監督に変わった第17節以降のそれは1.08(25試合、勝ち点27)。1試合あたり勝ち点0.5増は、かなり大きな違いである。

 第30節では、ついに残留圏の18位へ浮上。その後、再び降格圏に戻ってしまうのだが、ここからJ2残留が俄然現実味を帯びてきたことは間違いない。

 第41節終了現在、勝ち点38で19位の相模原は、次の最終節で東京ヴェルディと対戦する。相模原はこれに勝ち、勝ち点を41に伸ばしさえすれば、自力残留を決められる立場にいる。

 というのも、最終節では勝ち点41で16位のザスパクサツ群馬と、勝ち点39で18位の大宮アルディージャが直接対決するため、どちらかを必ず上回るからだ。

 いよいよ迎える決戦を控え、高木監督も「しっかり準備をして、何も忘れ物がない状態で戦いたい」と力強く語る。

 さらに言えば、勝ち点35で20位のギラヴァンツ北九州とは得失点差で9点差のリードがあり、相模原は最終節で負けたとしても、よほどの大敗でない限り、19位は確保できる。

 だとすると、J3の結果次第――J2ライセンスを持たないテゲバジャーロ宮崎が2位以内に入れば、J3からの昇格クラブがひとつ減る――で、残留の可能性も生まれる。

 宮崎は現時点で首位。最終節の結果次第で3位以下に転落もありうるが、そうした他力の要素も含めれば、相模原がJ2に残留する可能性はかなり高いと言ってもいいだろう。

 ぬか喜びは禁物だが、ドロ沼の最下位に沈んでいた時期を考えれば、相模原を取り巻く状況は見違えるほど明るくなっている。

 そんな変化の推進力となってきたのが、シーズン途中に加わった新戦力である。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る