「誰々が抜けたから」と言わせなかった川崎フロンターレの優勝。昨季とも違う歴史的な強さを見せつけた

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 そして、チームきってのムードメイカーでもある登里は、こうも話している。

「シーズンを通して苦しい状況があったが、ブレずに、自分たちから崩れずに戦えた結果、優勝につながった。昨年とは違う、自信が持てるシーズンだった」

 必ずしもベストメンバーがそろわなくても、あるいは内容がよくなくても、したたかに戦い、確実に勝ち切る。現在の川崎は、常勝に必要な条件を備え始めている。

 華麗なパスワークばかりが注目されていたチームは、いつしかタフで負けないチームになっていた。

 鬼木監督が柔和な笑みをたたえて語る。

「選手を信じていれば、必ずいい結果が生まれる。選手を信じることが一番と考えて、この5年やってる」

 信じた末の連覇達成。だが、川崎の2021年シーズンはまだ終わっていない。

「選手たちと、もうひとつ獲ろうと話している」

 史上最多J1優勝監督が見据えるのは、天皇杯連覇。2シーズン連続の二冠である。

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