J2の過酷な残留争い。大宮アルディージャ、栃木SCなどそれぞれが生き残る道は? (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by J.LEAGUE/J.LEAGUE via Getty Images

 首位・磐田との一戦では、前半から出足の鋭さで、敵陣で相手のボールの出どころを抑え、球際で力強く戦い、それぞれがいいポジションを保って、何度かボールを奪い返していた。その流れのセットプレーから先制に成功。ボールを持ってイニシアチブを握ろうとする意欲も見せ、それがトレーニングされていることも伝わった。

 しかし、つなげることでのミスからプレスバックで奪われ、同点弾を浴びたのも事実である。選手個人の技術レベルや負け続けてきたことによるメンタリティの問題もあるかもしれない。足を使ったこともあり、最後は力尽きるかのように戦力差に押し込まれ、逆転負けとなった。

「相手の力をまともに受けてしまった。もう少しボールを持つ時間を増やせるとよかったが、最後はケガ人も出て疲弊し、走れなくなっていた。(アディショナルタイムに)逆転されたシーンはシュートブロックにも行っているし、選手を責められない。ベンチワークで何かできたはずだし、私の責任です」

 霜田監督は自戒を込めて語ったが、一時は21位とどうしようもなかったチームを、どうにか戦える状態にまで引き上げてきた。そのサッカーへの取り組みは可能性と言える。結果のみで語られる残留争いを乗り越えたら、希望が見えるのではないか。

 一方でこのままでは降格する危険水域に入ったのが、下位4チームだろう。

 19位の相模原は昇格クラブだけに、むしろ健闘と言えるかもしれない。20位の愛媛は昨シーズンも21位で、この順位は驚きではない。21位のギラヴァンツ北九州は、主力FWとGKという得失点に直結する選手を入れ替えたことが、苦戦につながっている。

 最下位の松本山雅は厳しい状況だ。今シーズン、松本は20人以上もの選手を入れ替えて挑んでいる。ほとんど丸ごとチームを入れ替えてしまったわけで、当然ながら基盤は弱くなる。立ち戻るところを失ったも同然で、強いリーダーシップと明確なビジョンが欠かせなかったが、17位まで落ちたところで柴田峡監督を解任。名波浩監督を後任に据えたが、直近は目を覆うばかりの5連敗だ。

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