ユンカーが欧州ではなく日本の浦和レッズにきた理由「僕にとってパーフェクトな機会でした」

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi
  • photo by Getty Images

 デンマークでは8シーズンでリーグ戦計8得点しか記録できなかったが、ノルウェーでは1シーズン半でリーグ戦計33得点。2020年の暮れには、『FIFA.com』に紹介され、翌年には複数のクラブから獲得の打診を受けたという。

 欧州でステップアップすることもできたはずだが、彼はなぜ、Jリーグの浦和を新天地に選んだのだろうか。

「まったく新しい環境でチャレンジしたかったんです。いま一度、快適な場所から飛び出し、初めての大陸、初めての国、初めてのリーグで自分の力を試してみたかった。

 それに、日本にも興味がありました。ヨーロッパでも日本の評判は良く、安全で快適な生活が送れる国だと知られています。人々は他者に敬意を払い、食事はおいしく、インフラも整っている。またJリーグはレベルが高く、ファンも多い。そんな話を聞いていたから、アジアに挑戦するなら、日本がベストだと思っていました。

 加えて、Jリーグ史上3人目のデンマーク人選手になることも、面白いと思えました。ミカエル・ラウドルップ、ブライアン・ニールセンというレジェンドの次に、自分の名前があるなんて誇らしいし、歴史の一部になれた気がしましたね。

 だから浦和からオファーをもらった時、断る理由はなにひとつなかったんです。僕にとって、パーフェクトな機会でした」

 実際に来日すると、その印象はさらに強くなったという。特に人々の振る舞いや優しさに感銘を受けた。

「さすがに最初は、ちょっと寂しさを感じることもありました。なにしろ、デンマークとは7時間も時差があり(夏時間。冬時間では8時間)、僕が活動している時、家族や友人たちは眠っているわけだから、オンラインで会話をするのも簡単じゃなかった。

 でも日本の人々が本当に親切にしてくれたから、問題にはならなかったですね。チームにトミー(トーマス・デン)という英語を話す仲間がいたのもよかった。僕らはすぐに打ち解け、毎日のように会話をしたり、コーヒーを飲んだりして、一緒に過ごしています。

 食事も本当においしい。特に好きなのは、うどんと焼肉。今はコロナの規制で大人数で食べられないけれど、いつかチームメイトたちとバーベキューをしたいですね。

 それからファン・サポーターの温かい歓迎にも感謝しています。彼らは敬意をもって接してくれる。だからこちらも、彼らの願いや期待に応えようと思うし、彼らに対してこちらも敬意を払っています。僕は日本で、人々からの愛を感じられています。本当にうれしいことですよ」

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