ガンバ大阪、見せられるかオリジナル10の底力。残留に向け浮かび上がる現状の緊急性 (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 その前節に北海道コンサドーレ札幌に大敗(1−5)を喫した影響もあったのだろう。守備を重視して腰が引け、全体の重心は後ろがかり。攻撃に人数をかけられないのだから、ゴール前での連係など望むべくもない。

 ボールポゼッションに長ける浦和相手にボールを保持されるのは想定内だったとはいえ、松波監督も「今日みたいな守備というところはベースではあると思うんですけども、奪ったあとの攻撃、ボールを握った時の攻撃というところを、もう少し構築していければ」と課題を認識している。

 守りを固めて限られたチャンスをモノにするという戦いは、下位チームが上位チームの足をすくう常套手段。残留が最大のターゲットとなった今季のG大阪にとっても同様だろう。

 ただし、「浦和はポゼッションがうまいので、まずは守備からというところで試合に入りましたけど、あまりにも受けの状態が長すぎた」と東口が言うように、ボールを持たれる時間が長ければ長いほど、守備の決壊が訪れる可能性は高くなる。この日も最終的には追いついたとはいえ、土壇場で耐えきれずに先制点を許したのは、この戦い方では想像の範疇を超えるものではない。

 9月20日掲載のコラムで浅田真樹氏がG大阪の現状に言及した原稿(『J1残留は本当に大丈夫? 苦境が続いているガンバ大阪の危うい現状』)を眺めると、「今はずっと(相手に)ボールを持たれて、自分たちがやりたいことができない」という高尾瑠のコメントがあった。苦境の原因はわかっているのに、その課題が手つかずのままなところに、今のG大阪の緊急性が浮かび上がる。

 もちろん、残留争いでは1ポイントでも取れればいいだろう。ただし、守るだけでは勝ち点1しか望めず、最後に破綻し、ゼロに終わるリスクも高い。神風など何度も吹くものではないのだから。

 幸いにも、と言うべきか。G大阪には宇佐美をはじめ、個の能力で打開できる攻撃陣が揃う。彼らの力が好転のきっかけを生み出すかもしれない。ただし、属人的な戦いはひとつのギャンブルにすぎず、希望的観測を求めた神頼みの戦いにほかならない。

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