長友佑都が見せた「日本」への適応力。欧州からJリーグ復帰組の明暗 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Fujita Masato

 安西は日本代表でも左サイドバックとして「長友の後継者」と目されていたが、いまだ定着できていない。ポルトガルで培ったプレーを、日本の地で革新させられるか。それは安西本人だけでなく、日本サッカーの運命を左右することになるかもしれないのだ。 

〇宮市亮(ザンクトパウリ/ドイツ→横浜F・マリノス)

 正確に言えば、宮市の場合、復帰組には括れない。なぜなら、彼は一度もJリーグのピッチに立ったことがないからだ。

 高校卒業後、プレミアリーグ・アーセナルと契約。1年目はオランダのフェイエノールトにレンタル移籍し、当時はセンセーションを起こした。トップスピードに入った時の疾走感は極上と、将来が嘱望された。

 だが、たび重なる膝のケガなどに悩まされ、なかなか継続的にプレーすることができなかった。それでも10シーズンにわたって欧州でプレー。昨シーズンはブンデスリーガ2部のザンクトパウリで29試合に出場し、久しぶりに面目躍如だった。

 その経験を糧に日本へ戻り、第29節、敵地の名古屋グランパス戦でデビューを飾っている。この試合で宮市は途中から左FWの位置に入ったが、率直に言って、周囲との呼吸はまだ合っていなかった。リードされた状況で入っただけに、怖さを見せたかったが、ほぼ封じられていた。ファーポストで敵の背後を取ってのヘディングシュートなど、わずかに見せ場を作ったが、ボールを後ろへ戻す場面が多かった。

 優勝争いをするチームで、いきなり定位置を確保するのは厳しいだろう。与えられた短い時間で、いかに状況を打開するプレーを見せることができるか。それだけの天性のものは持っているはずだ。

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