欧州からのJリーグ復帰組を査定。誰が一番チームに貢献しているか (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Yamazoe Toshio

 ただ、9月末の川崎フロンターレ戦では、イニエスタのロングパスを左サイドで引き出し、それを持ち込んで武藤に完璧なクロスを送ってアシストを記録した。周りと協調する力はもともと非凡で、プレーを重ねるたび、新たなスタイルも作り出しつつある。代表中断前の浦和戦では、酒井高徳のクロスに合わせて初ゴール。左に流れて、中央のイニエスタのゴールもアシストした。

 先日の日本代表のオーストラリア戦で負傷。復帰が待たれるが、フォワードとしての総合力の高さはJリーグで飛び抜けているだけに、長期的に見て、結果を出せるのではないか。

〇武藤嘉紀(エイバル/スペイン→ヴィッセル神戸)

 武藤は肉体的にも技術的にもポテンシャルが高い選手だ。サイドでもセンターフォワードでもプレーできる。献身的で、ユーティリティ性は武器と言えるだろう。

 2015年から3シーズン在籍したブンデスリーガ・マインツ時代は得点をコンスタントにとることでコンディションを上げ、信頼も得ていた。しかし、2018年にプレミアリーグ・ニューカッスルに移籍後はチームにフィットせず、リズムを失った。昨シーズンはエイバルに新天地を求めたが、定位置をつかめず、チームは2部降格の憂き目に遭っている。その結果、パス所有先のニューカッスルに契約を解除され、欧州挑戦は終わりを告げた。

 武藤の場合も、ゴールに関わる仕事ができるかどうかが成功のバロメーターになるだろう。神戸ではFWの選手が余剰なだけに右サイドでの起用が多くなっているが、チームの構造(と言うほどの組織としての形がない)と武藤自身のキャラクターかあいまって、はまり具合は悪くない。清水エスパルス戦、川崎戦と、大迫が左に流れてクロスを入れ、中に入った武藤が連続得点を記録。これは今後もひとつのパターンになるかもしれない。

 浦和戦ではイニエスタの右からのクロスをヘディングでゴールに流し込んでいる。イニエスタ次第のチームだけに、このホットラインを確立することが成功の架け橋になるだろう。個人能力で相手を凌駕しているだけに、相応の数字を望めるはずだ。

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