Jリーグがクライマックス。熾烈なACL出場権争いで抜け出すのはどのチームか

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

Jリーグクライマックス2021

福田正博 フットボール原論

■J1は終盤戦に入り残り7試合(一部チームは6試合)。川崎フロンターレが優勝に近づいている状況だが、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)の出場権争いは、勝ち点の近いチームがひしめく激しい争いとなっている。注目チームの状況と今後の見どころを福田正博氏に解説してもらった。

補強の効果が出て上位進出のヴィッセル神戸。ACL出場権を獲得できるか補強の効果が出て上位進出のヴィッセル神戸。ACL出場権を獲得できるかこの記事に関連する写真を見る J1のリーグタイトルの行方は、川崎フロンターレの手中に収まりつつあると言っていいだろう。現在2位横浜F・マリノスに勝ち点12差をつけている。残り試合は川崎が6試合で、横浜FMが7試合。横浜FMが1試合多いものの、よほどのことがない限り、この差はひっくり返らないと思う。

 2連覇間近の川崎は、開幕からずっと負けなしの驚異的なペースで勝ち点を積み重ね、シーズン序盤から首位の座を守ってきた。だが、優勝に向けて盤石な歩みだったわけではない。東京五輪による1カ月におよんだ中断明けは、前半戦の勢いを完全に失っていた。

 三笘薫(サン=ジロワーズ)、田中碧(デュッセルドルフ)が海外移籍したのに加え、6月に故障から復帰した大島僚太が7月下旬にふたたび戦線離脱。谷口彰悟も故障とベストメンバーで臨めない試合が増えて、思うように勝ち点を伸ばせなかった。

 Jリーグ再開初戦こそ大分トリニータに勝利したものの、続く柏レイソル、サンフレッチェ広島とは引き分け。そして、第26節のアビスパ福岡戦では、ついに今季初黒星を喫した。この1週間後のルヴァンカップ準々決勝では浦和レッズと2引き分けで敗退し、続くAFCチャンピオンズリーグ(ACL)では韓国の蔚山に敗れてラウンド16で敗退した。

 福岡戦の8月25日から蔚山戦の9月14日までの川崎は、このままリーグ首位の座も下りてしまうのではないかと思うほど、チームは勢いを失った感があった。

 王者が失速するのを尻目に勢いを増したのが横浜FMだった。7月に就いたケヴィン・マスカット新監督は、基本的な戦い方は6月に退任したアンジェ・ポステコグルー前監督(現セルティック監督)の路線を踏襲。8月は7試合で21得点と攻撃陣が爆発し、5勝1分1敗で16ポイントを積み上げた。

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