中村憲剛×佐藤寿人「監督論」。毎日の練習が本当に楽しかった指導者は... (4ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

中村 ミシャさんは人一倍、愛があるよね。(苦笑)すぐにハグしてくるし、選手のことを自分の息子だとよく言っていたよね。対戦相手なのによくしてもらったなぁ(笑)。

佐藤 本当に選手をリスペクトしてくれるんです。選手が一番大事だと、ずっと言っていましたからね。選手も監督の想いを感じて、自然と「この人についていこう」という空気が作られていく。トレーニングのメニューも含めて、どんどんうまくなっている実感がありました。

中村 それは大事だよね。監督にとって一番重要な資質かもしれない。「今日はどういう練習ができるかな?」と選手に思わせる環境作りができる監督が、いい監督だと思いますね。「練習だるいな」と思うより、ワクワクできたほうがいいじゃないですか。

 その意味では、僕の場合はオシムさんかな。知らない世界の扉を開いてくれましたから。すでに知っているなかでやることは選手も読めてしまうけど、こういうのもあるよ、こういうところが見えればもっと幅が広がるよと、常に提示してくれる人は選手側にとって刺激になる。

 オシムさんは、まさにそういう監督でしたね。練習メニューも常に変わるので、毎回の練習が本当に楽しかったですよ。

(中編につづく)

【profile】
中村憲剛(なかむら・けんご)
1980年10月31日生まれ、東京都小平市出身。久留米高校から中央大学に進学し、2003年にテスト生として参加していた川崎フロンターレに入団。2020年に現役を引退するまで移籍することなく18年間チームひと筋でプレーし、川崎に3度のJ1優勝(2017年、2018年、2020年)をもたらすなど黄金時代を築く。2016年にはJリーグ最優秀選手賞を受賞。日本代表・通算68試合6得点。ポジション=MF。身長175cm、体重65kg。

佐藤寿人(さとう・ひさと)
1982年3月12日生まれ、埼玉県春日部市出身。兄・勇人とそろってジェフユナイテッド市原(現・千葉)ジュニアユースに入団し、ユースを経て2000年にトップ昇格。その後、セレッソ大阪→ベガルタ仙台でプレーし、2005年から12年間サンフレッチェ広島に在籍。2012年にはJリーグMVPに輝く。2017年に名古屋グランパス、2019年に古巣のジェフ千葉に移籍し、2020年に現役を引退。Jリーグ通算220得点は歴代1位。日本代表・通算31試合4得点。ポジション=FW。身長170cm、体重71kg。

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る