ドイツやスペインと同様、川崎フロンターレの栄華は終わりを告げてしまうのか (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 この試合、3トップの左で宮城が、右で遠野が先発出場したものの、0-1と湘南にリードを許して折り返した後半開始から、そろってベンチに下がった。彼ら自身の積極的なプレーが鳴りを潜めたばかりか、サイドバックの攻め上がりを促すこともできず、攻撃の停滞を招いたからだ。

家長昭博はこれまでどおり絶大な存在感を示しているが...家長昭博はこれまでどおり絶大な存在感を示しているが... 対照的に試合の流れを一変させたのは、後半に出場した外国人助っ人のマルシーニョと、ベテランの家長である。

 とりわけ、65分からピッチに立った家長の存在感は絶大で、投入直後の66分に同点ゴールが生まれ、ロスタイムの90+4分には、家長のアシストから逆転ゴールが生まれている。

 鬼木達監督もその働きを絶賛する。

「(家長投入で)一気に変わった。(右サイドバックの山根)視来が上がれる時間を作ってくれた。単発ではなく、連続で攻めることが必要だった。ゲームを読める選手だと改めて思った」

 川崎に次なる選手が育っていないわけではない。フランスが、スペインが、ドイツがそうであったように、主軸が健在なうちは活きのいい若手が輝いて見える。

 だが、彼らは主軸の隣でプレーする分には非凡な才能を発揮できても、自らが主軸になれるかというと話は別だ。もちろん、若い選手たちがこれから経験を重ねていけば、ひと皮むけるどころか、大化けすることだってあるだろうが、現在の川崎はJリーグ史上最強とも称されるほどのチームなのである。彼らが越えるべきハードルは、並大抵の高さではない。

 現在、川崎は2位の横浜F・マリノスに勝ち点9差をつけて首位に立っている。今季J1も残り8節であることを考えれば、セーフティーリードと言ってもいいだろう。前半戦に比べて、川崎が多少弱くなろうと、内容が悪くなろうと、今季の優勝はまず間違いない。

 しかし、問題は2度目の連覇を達成したあと、である。

 その先が、楽しみでもあり、不安でもある。

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