今季Jリーグの「ベストヤングプレーヤー」は誰か。ハイレベルな争いをする候補者たち (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 先の東京五輪では、全6試合に先発フル出場。準々決勝ニュージーランド戦ではPK戦勝利の立役者となるなど、日本のベスト4進出に大きく貢献したことは記憶に新しい。

 東京五輪後も、失意の敗戦に終わった3位決定戦のわずか3日後に行なわれた第23節鹿島アントラーズ戦に、早くも先発出場。湘南にとって、谷がどれほど重要な存在であるかを物語る。

 現在(第30節終了時。以下同じ)まで27試合に出場し、20歳の若きGKはシュートセーブだけでなく、ハイボールの処理や足元のつなぎにも磨きをかけている。

 一方、"攻"で活躍が目立つのは鹿島アントラーズのMF、荒木遼太郎である。

 東福岡高から鹿島入りして2年目の荒木は、ルーキーだった昨季、すでに持てる才能の片鱗をうかがわせてはいたが、今季はそれが大きく開花した。

 いきなり開幕戦でゴールを奪うと、3試合連続の計4ゴールを記録。シーズン当初から好調を続ける荒木は、今や鹿島の攻撃の中心的存在となっている。その存在感は、先輩MFと比べても見劣るところがないほどだ。

 何より荒木の魅力は、数字が示すように、得点をとれるMFであること。主にサイドハーフやトップ下を務めているが、今季リーグ戦で9ゴール、ルヴァンカップも含めれば、すでに11ゴールと"大台"に乗せている。

 シュート技術に長けていることは言うまでもないが、タイミングのいい飛び出しや、巧みなポジショニングからのゴールが多いのも、優れた得点感覚を備えていることを物語る。

 得点を重ねるごとにプレーに自信が深まっているのか、風格さえ漂う落ち着き払ったプレーぶりは、プロ2年目とは思えないほどだ。シーズン序盤の出遅れが尾を引く鹿島にあって、荒木の活躍は貴重な光となっているのは間違いない。

 もちろん、受賞対象となりうる選手は他にもいる。

 谷とは湘南のチームメイトである田中聡は、傑出したボール奪取能力を備えるばかりか、パスセンスにも優れたMF。ボランチを主戦場としながらも3バックの一角もこなし、すでに28試合に出場している。

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