メッシとも比べられたリーガの「天才」は、神戸で復活することができるか (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by L'EQUIPE/AFLO

 ボージャンが生きるべき場所はエリア内である。テクニックがあるだけに、相手を外し、パスもさばける。ドリブルで運び、サイドから脅威を作ることもできるだろう。しかし、彼は絶対的にゴール前にいるべき選手だ。

 その本性は、長い年月を経ても変わっていないだろう。

 神戸でのデビュー戦では、イニエスタとの交代出場ということもあったが、ボージャンは中盤でプレーする時間が長かった。ボールを受け、パスを出し、プレーメイクに関わって、スルーパスも味方に合わせようとしていた。MFとしての仕事は、できないこともない。神戸は大迫勇也、武藤嘉紀、ドウグラス、リンコンなどFWが余剰気味なだけに、下がって受け、作るプレーが求められるのかもしれない。

 しかし、繰り返すが、ボージャンはゴール前でプレーすべきである。中盤の選手としても悪くはないが、「世界」を感じさせることはない。事実、広島戦でも空回りしていた。一方でストライカーとしてチームにフィットすれば、セルティックに移籍した古橋亨梧の穴を補って余りある。イニエスタと同じピッチに立った時が見ものだ。

 適応力に関しては、それほど問題ないだろう。バルサを出た後、ボージャンはいくつものクラブ、国を渡り歩いてきた。ローマ、ミラン(イタリア)、アヤックス(オランダ)、ストーク(イングランド)、マインツ(ドイツ)、アラベス(スペイン)、そしてモントリオール・インパクト(カナダ)。過去5シーズン以上、5得点以上あげていないのは気がかりではあるが......。

「人生を通じて、バルサでプレーできたらすばらしいことだった。でも、プロ選手として多くの国で困難を乗り越えることで、大きく成長できたとも思っている」

 ボージャンはそう言う。

 結局、バルサでは大成することができなかった。15年間近くプロとして戦ってきて、1年目がキャリアハイだと言われ、「消えた天才」とも揶揄される。それはボージャン本人にとって、愉快なことではないだろう。彼は要所でゴールを決め、現役を続けてきた。2011-12シーズンにはローマで、2015-16シーズンにはストークでそれぞれ7得点を記録している。

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