ロティーナ監督招聘で躍進を期待も清水エスパルスがパッとしないのはなぜ?

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

 チームを急に強くする魔法はない。

 そんなことはわかっていても、名将の誉れ高き監督がやって来たとなれば、やはり期待は高まろうというものだ。

 今季開幕を前に、清水エスパルスの前評判は高かった。

 サッカー専門誌『サッカーダイジェスト』が毎年行なう開幕前の順位予想を引けば、解説者、ライターなど、総勢30人の予想をもとにした総合ランクは9位。なかには、4位や6位に予想する人もいたほどだ。

 昨季の清水が、通常のシーズンならJ2に降格していたかもしれない16位に終わっていたにもかかわらず、である。

 では、なぜ清水がこれほど高い評価を受けたのか。それはひとえに、ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督就任によるところが大きかったに違いない。

 ロティーナ監督は2017年、初めてJリーグにやってきて以降、J2の東京ヴェルディとJ1のセレッソ大阪をそれぞれ2シーズンずつ指揮してきたが、そこでの成績は以下のとおりだ。

◆東京V(J2)
●ロティーナ監督就任前
2016年=18位/勝ち点43(43得点、61失点)
●ロティーナ監督就任後
2017年=5位/勝ち点70(64得点、49失点)
2018年=6位/勝ち点71(56得点、41失点)

◆C大阪(J1)
●ロティーナ監督就任前
2018年=7位/勝ち点50(39得点、38失点)
●ロティーナ監督就任後
2019年=5位/勝ち点59(39得点、25失点)
2020年=4位/勝ち点60(46得点、37失点)

 結果を見れば、一目瞭然。ロティーナ監督は見事なまでにチームの成績を上昇させてきた。

 とりわけ東京Vでは、18位に沈んでいたチームを1年で5位まで引き上げ、J1昇格プレーオフへ進出させているのだから、その辣腕は驚異的とさえ言える。

 だとすれば、今季から同じ監督が率いる清水の躍進を周囲が期待するのは当然の成り行き。J1とJ2の違いこそあれ、昨季16位の清水がひと桁順位を予想されても何ら不思議はなかった。

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