セルティックの先輩・中村俊輔が古橋亨梧に助言。「もっとプレーしやすくなる」と考えた理由とは? (2ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by AFLO

 今季開幕前、捲土重来を期すセルティックは横浜F・マリノスから新監督にアンジェ・ポステコグルーを招聘。Jリーグで実績を残したオーストラリア人指揮官は、ヴィッセルの俊足FWに目をつけた。セルティックが26歳のストライカーに移籍金480万ポンド(約6億8000万円)を支払ったのは、評価の表れだろう。

 それは今から16年前、新指揮官ゴードン・ストラカンがコンフェデレーションズカップで中村に惚れ込み、獲得を熱望したのと似ている。スコットランドのメディアやファンにすれば、同じ「日本人」であることを含め、期待を寄せたくなる条件が揃っているのだ。

「キョーゴについてどう思う? お前も早くスコットランドに取材に来ないとな!」

 日本時間8月9日早朝、英国最大のタブロイド紙『サン』の記者からそんなメールが届いた。ちょうど前日、古橋は本拠地デビュー戦でハットトリックを記録したばかりだった。8時間の時差を考えると、現地記者は原稿を書き終え、上機嫌でビールでも飲みながら連絡してきたのだろうか。

「本拠地でのハットトリックデビューは97年ぶり」

 200年以上の歴史を誇る一般紙『スコッツマン』は、元ウェールズ代表のクレイグ・ベラミーやジョン・ハートソンら歴代の名FWがホームで初めてハットトリックを記録するまでの試合数を引き合いに出し、古橋の偉業に花を添えた。

 最高峰の期待を示したのが、世界中にいる"ボーイズ(セルティックファンの愛称)"だった。

 1997年から2004年まで在籍し、公式戦221試合で174ゴールを記録した元スウェーデン代表FWヘンリク・ラーションに古橋をなぞらえたのである。イギリスのTwitterでは「Larsson」がトレンド入りするほどだった。「King of Kings」と言われるラーションは、セルティック史上最高のひとりとして、今もサポーターたちに愛されている。

 こうした先人との比較は、英国サッカーを取り巻く"作法"のようなものと言える。中村もよく偉大なMFたちと比べられた。とりわけ引き合いに出されたのが、元スロバキア代表でジェフ市原(2002年)でもプレーしたリュボミール・モラフチクと、元ブラジル代表のジュニーニョ・パウリスタだった。

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